デジタルゲーム取引における「購入」表示と実際の権利範囲が争点となっている。写真=Shutterstock

Sonyは、PlayStation Storeで扱うデジタルゲームについて、購入者が所有権を得る商品ではなく、あくまでライセンス提供の対象だとする立場を米連邦裁判所に示した。購入手続きで使われる「購入」という表示が消費者に誤解を与えたとする集団訴訟に対し、法廷で反論した形だ。

8月31日付のDecrypt報道によると、Sonyは8月21日に米連邦裁判所へ提出した書面で、通常の消費者がPlayStation Storeでデジタルゲームを入手する際、ゲーム自体の所有権を取得すると誤解することはないと主張した。

訴訟は6月、カリフォルニア州のPlayStation利用者4人がSonyを相手取って提起した。原告側は、PlayStation Storeの決済画面で「今すぐ購入(Buy Now)」や「購入確認(Confirm Purchase)」といった表現が使われており、利用者がデジタルゲームの所有権を買うと受け取る余地があると訴えている。

また、原告側は、実際にはSonyが提供しているのはゲームのライセンスにすぎず、利用権は取り消され得るものだと主張している。

争点の一つは、2025年1月に施行されたカリフォルニア州法AB 2426だ。同法は、デジタル商品を販売する事業者が「購入」や「販売」など、合理的な消費者が制限のない所有権移転を意味すると受け止めかねない表現を使う場合、決済過程でその取引がライセンスであることを明確かつ目立つ形で示すよう求めている。

Sonyは、自社の決済フローはすでにこの要件を満たしていると反論した。カート画面の小さな表示からPlayStationサービス約款とソフトウェア製品ライセンス契約を確認でき、約款には利用者が製品を所有するものではないことが明記されていると説明している。

また、ライセンス契約にも、ソフトウェアは販売されるものではなくライセンスされるものだと記載されていると強調した。

Sonyはさらに、利用者がデジタルゲームに所有権を期待するという原告側の前提自体に無理があるとも訴えた。提出書面では、ジェイソン・メンドーサが2月14日に「レジデント イービル レクイエム」を購入し、その11日後にエドワード・ヘイコックが同じゲームを69.99ドルで購入した事例を挙げている。

Sonyは、仮に最初の購入者がゲームそのものを所有していたのであれば、2人目の購入は成り立たなかったはずだと指摘した。その上で、合理的な消費者がデジタルゲームの購入によって所有権を得ると信じたとする原告側の主張は説得力を欠くとした。

もっとも、今回の対応はデジタルゲームの所有権そのものについて本案判断を求める段階にはない。Sonyがまず求めたのは、PlayStationサービス約款に基づき、この紛争を非公開仲裁に移すことだ。

PlayStationサービス約款には、集団訴訟を放棄する条項も盛り込まれている。Sonyはこれを根拠に、利用者の請求は集団訴訟ではなく個別に申し立てられるべきだと主張した。裁判所が仲裁への移行を認めれば、陪審審理に進む可能性は低くなる。

この訴訟は、ゲーム業界でデジタル流通の比重が高まる中で提起された点でも注目される。Sonyは7月1日、2028年1月から新規PlayStationゲーム向けの物理ディスク生産を中止すると発表しており、今後はPlayStation Storeなどデジタル販売チャネルへの依存が一段と強まる可能性がある。

また、Sonyグループがデジタルエコシステム決済に使うドル建てステーブルコインの導入を検討しているとも報じられており、デジタルコンテンツの流通や決済のあり方が変わる可能性もある。

現時点で連邦裁判所は、Sonyの仲裁要請について判断を示していない。仲裁が認められなければ、PlayStation Storeの決済過程で使われる「購入」という表示と、ライセンスであることの告知が、カリフォルニア州の消費者保護法の基準を満たしていたかどうかが主要な争点となる見通しだ。

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