予測市場プラットフォームを運営するKalshiは、元米下院議員のジョージ・サントス氏を永久追放し、7万1356ドル(約1070万円)の罰金を科した。自身の演説出席可否を巡る市場で取引し、公開発言を通じて価格形成に影響を与えたと認定した。ブロックチェーンメディアのDecryptが8月31日(現地時間)に報じた。
Kalshiによると、サントス氏は自らの出席の有無が決済条件となる市場で取引を行った後、公の場での発言によって相場を動かし、利益を得たという。
Kalshiのコンプライアンス部門は8月28日付の懲戒通知で、サントス氏が2月2日から2月25日にかけて、本人の出席可否で結果が決まる市場で大口取引を繰り返したと公表した。
取引所規定では、結果に影響を及ぼし得る当事者による当該市場の売買を禁じている。Kalshiは、サントス氏の行為がこの規定に反すると判断した。
調査では、サントス氏が自身の出席可否について複数回公に発言しており、その一部は虚偽、または誤解を招くおそれがあったという。Kalshiは、同氏が「はい」「いいえ」契約の相場を動かす意図で発言したと認定した。
コンプライアンス部門は、こうした発言が実際に価格へ影響し、サントス氏が1万7839.57ドル(約268万円)の利益を得たと明記した。
Kalshiは、同氏の行為が市場操作の禁止、結果に影響し得る当事者の取引禁止、欺瞞的行為の禁止に違反すると判断した。調査への非協力も処分理由に含めた。
これを受け、Kalshiは同氏によるプラットフォームの利用を直接・間接を問わず永久に禁じた。元連邦下院議員に対する生涯利用禁止は初めてだとしている。
今回の事案は、予測市場の拡大に伴って顕在化する公正性リスクを改めて浮き彫りにした。予測市場は、選挙やスポーツ、経済指標など現実の出来事の結果を対象に、利用者が「はい」「いいえ」の契約を売買する仕組みだ。契約価格は、市場参加者が織り込む発生確率を反映して変動する。
KalshiやPolymarketはこの1年で取引規模を急拡大させた。米商品先物取引委員会(CFTC)の規制下にあるKalshiは、イベント契約の普及拡大を背景に、数十億ドル規模の取引と機関投資家の関心を集めてきたという。
一方で、市場の拡大とともにインサイダー取引や市場の信頼性を巡る問題も急速に表面化している。
最近ではCFTCが、大統領演説に関する事前情報を利用して取引した元ホワイトハウスのテレプロンプター担当者に罰金を科した。
また、MrBeastの動画編集者はKalshiのインサイダー取引調査の過程で解雇され、米軍関係者はPolymarketでの取引を巡る容疑で起訴された。サントス氏への処分は、こうした一連の事案に続く措置となる。
Kalshiは、サントス氏の件を受けて監視体制を強化したとしている。予測市場が主流の金融商品としての性格を強めるほど、取引当事者と現実の出来事の関係者との利益相反をどこまで遮断できるかが、引き続き大きな課題となりそうだ。