写真=NVIDIA

NVIDIAは8月31日(現地時間)、MediaTekの転換社債35億ドル分を引き受け、AIインフラやローカルAIコンピューティング、自動車分野での協業を拡大すると発表した。MediaTekはNVIDIAの接続技術「NVLink Fusion」を採用し、カスタムAIチップをNVIDIAのデータセンター基盤に接続できるようにする。

今回の協業の中核は、MediaTekのカスタムAIチップ設計事業へのNVLink Fusionの適用だ。NVLink Fusionは、NVIDIAのGPUと他社が設計したチップの間で高速なデータ転送を可能にする接続技術で、NVIDIAは一般的なPCIe 6.0実装に比べて10倍超の転送速度を提供すると説明している。

MediaTekはこの技術を活用し、クラウドサービス企業やAIモデル開発企業などが自社設計したAIアクセラレーター(XPU)を、NVIDIAのNVLink対応ラックスケールAIインフラに接続できるよう支援する。

NVIDIAがカスタムAIチップ市場の取り込みを進める背景には、大手テック企業による自社AI半導体の開発拡大がある。Amazon、Google、Microsoft、OpenAI、Anthropicなどは、NVIDIA製GPUへの依存を下げるため独自チップの開発を進めている。

NVIDIAは、こうしたカスタムチップを自社のAIインフラに接続可能にすることで、GPUを軸とする市場の主導権維持を狙う。

PC分野での協業も続く。NVIDIAは2025年、AIモデルのファインチューニングなどに使えるワークステーション「DGX Spark」を発売したが、同製品にはMediaTekが設計に参加したシステムオンチップが採用された。

両社は6月に公開したPC向けプロセッサ「RTX Spark」でも協業しており、今後もRTX SparkとDGX Sparkの複数世代にわたって製品開発を進める計画だ。

自動車分野も協業対象に含まれる。MediaTekは車載ディスプレイなどを駆動する「Dimensity Auto」システムオンチップを供給しており、NVIDIAとともにAIベースのソフトウェア定義車両(SDV)向けプラットフォームの開発を継続する。

NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは「AIは、世界最大規模のAIデータセンターからPC、自動車に至るまで、あらゆるコンピューティングプラットフォームを変革している」とコメントした。その上で「MediaTekとともにNVIDIAのアクセラレーテッドコンピューティングを新たな市場へ広げ、顧客が大規模で差別化されたAIシステムを構築できるプラットフォームを提供する」と述べた。

MediaTekもデータセンター向けカスタムチップ事業の拡大を急ぐ。同社は今年、同事業で売上高20億ドルを目標に掲げ、今後数年で事業規模を数倍に拡大する計画だ。

今回の投資については、NVIDIAが自社技術のエコシステムに連なる半導体企業へ直接資金を投じる戦略の一環とみる向きがある。一方で、NVIDIAがAIエコシステム内の企業に投資した後、その企業の製品やインフラが再びNVIDIA技術への需要拡大につながる構図に対し、一部投資家からは「循環金融」への懸念も出ている。

Reutersは、今回の投資がNVIDIAのAIエコシステム拡大に寄与する一方、関連する投資構造への市場の関心を高める可能性があると報じた。

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