ジョン・ターナス氏(左)とティム・クック氏。写真=Apple

Appleは1日、15年ぶりに新CEO体制へ移行する。ティム・クック氏の後任として就任するジョン・ターナス氏にとって、新体制で最大のテーマとなるのはAI戦略だ。強固な製品・サービスのエコシステムを引き継ぐ一方、競合に後れを取っているとされるAI分野でどこまで巻き返せるかが、今後を左右する。

TechRadarは8月31日、「クック氏がこの15年でAppleの事業構造を大きく変えたのに対し、ターナス体制ではSiriを含むAIへの対応が主要な評価軸になる可能性が高い」と分析した。クック氏はiPhoneのサイズや価格帯を広げたほか、Apple Watchを主力ウェアラブルへ育てるなど、ハードウェア事業の多角化を進めてきた。

クック体制の成果として大きいのが、サービス事業の拡大だ。Apple Music、iCloud、Apple TV、Fitness+などを含むサービス部門の2026年度第3四半期売上高は307億4000万ドルと、前年同期比12%増。6月四半期として過去最高を更新した。

MacのプロセッサをIntel製から自社設計のApple Siliconへ切り替えたことも、クック体制を象徴する大きな転換点といえる。この取り組みには、長年ハードウェアエンジニアリングを率いてきたターナス氏が深く関わった。Appleの取締役会も、同氏の技術的な専門性と製品開発の経験をCEO起用の理由として挙げている。

一方で、クック体制の弱みとして指摘されてきたのがAI分野での出遅れだ。Appleは今年のWWDCで新たなSiriのAI機能を披露し、巻き返しを図った。ただ、今後は実際のユーザー体験で競争力を示せるかが問われる。Apple Vision Proも高い技術力を示したが、3499ドルという価格の高さから普及には限界を見せた。

ターナス氏が引き継ぐ経営環境は、2011年にクック氏がスティーブ・ジョブズ氏から会社を引き継いだ当時とは異なる。Appleはすでに安定した製品群と巨額のサービス売上を抱えており、クック氏も取締役会議長として残る。短期的には急激な戦略転換よりも、現行路線の維持が中心になる可能性が高い。

それだけに、ターナス体制の試金石はAI戦略にある。iPhone、Mac、ウェアラブルをつなぐSiriのAI機能で競争力を確保し、Appleのハードウェアの強みを新たなAI体験へと結び付けられるか。その成否が、新体制を評価する最大の指標となりそうだ。

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