写真=Krafton。チャン・テソク氏(Kraftonグローバルパブリッシング統括兼PUBGフランチャイズ統括)が、ドイツ・ケルンメッセで開いた「Kraftonメディアデー」で説明した。

Kraftonは、ドイツ・ケルンで開催された「gamescom 2026」で新作5タイトルを公開し、多ジャンルにまたがるフランチャイズIP育成戦略を鮮明にした。PUBGに偏った収益構造を是正し、有望タイトルの発掘から検証、事業拡大までを一貫して回す体制づくりを進める。

公開したのは「NO LAW」「プロジェクト ゼタ」「エイジ ツイスター」「タレー:アンバウンド」「PUBG:デッドネット」の5本。オープンワールドFPS RPG、マルチチーム対戦、協力型アドベンチャー、東洋ファンタジーのアクションRPGなど、ジャンルは幅広い。開発体制も自社開発と外部スタジオ作品が混在する。

Kraftonは今回のラインアップについて、ジャンルの定型に挑む企画、外部スタジオとの協業、既存フランチャイズの再解釈を通じて新たなゲーム体験を掘り起こすパブリッシング戦略の一環だと位置付けた。

この方針は、チャン・テソク氏(Kraftonグローバルパブリッシング統括)が掲げる「Kraftonが作れば面白い」という目標とも重なる。同氏は、PUBGが10年以上にわたってユーザーとともに成長してきた経験を土台に、異なるジャンルと個性を持つスタジオと新作を生み出していく方針を示した。その上で、「Kraftonが作れば面白いという言葉が、ファンにとって当たり前になる日まで、覚悟を持って誠実に進む」と述べた。

狙いは、ジャンルや開発主体が異なっても、作品を見極める基準とパブリッシング力をKrafton共通の競争力として定着させることにある。

◆PUBGとSubnauticaを成長軸に、新たなIP育成へ

こうした戦略の土台にあるのが、Kraftonが進めるフランチャイズIPの拡大だ。キム・チャンハン代表は第2四半期(2Q)の決算説明会で、PUBGとSubnauticaを複数の成長軸として構築できたと評価した上で、IPを発掘・検証しながら規模を広げる「反復可能な成長システム」によって、新たなフランチャイズIPの確保を進める考えを示した。

この仕組みの原型はPUBGにある。PUBGは単一のバトルロイヤルタイトルとして出発し、その後は多様なゲームプレイやコンテンツを取り込む形でプラットフォームとしての広がりを見せてきた。2QのPUBG(PC・コンソール)のMAUは前年同期比で20%超増え、売上高は70%超拡大。上期のPUBGフランチャイズ売上高も前年同期比25%増となった。

Subnautica 2は、このフランチャイズ育成戦略を別ジャンルへ広げられることを示した事例とみている。深海探検・サバイバルというPUBGとは異なるジャンルながら、既存IPの中核となるゲーム性を維持しつつ、コンテンツ領域を広げた。

Kraftonは、ジャンル面での独自性とファンダムを備えたIPを発掘し、スケールさせた成果だと評価する。5月にアーリーアクセスを始めてから22日で販売本数は500万本を突破し、上期のSubnautica IP売上高は2325億ウォンに達した。

キム代表は、こうした過程で蓄積した経験と意思決定のノウハウをもとに、フランチャイズIPの確保・育成システムをさらに強化すると説明した。単発の成功にとどめず、新規IPの発掘に繰り返し適用できる体制を整える考えだ。

◆gamescomで示した多ジャンルの新作群

gamescomで公開した新作群も、この方向性を具体的に示すものだ。

「NO LAW」は、潜入、正面戦闘、ツール活用など複数の手段で状況を打開する没入型のオープンワールドFPS RPG。「プロジェクト ゼタ」は、3人編成の4チームがオブジェクトを争うマルチチーム型タクティカルアリーナで、既存MOBAのレーン戦中心の構造からの脱却を打ち出した。

「エイジ ツイスター」は世代変化と能力活用を軸にした2人協力アドベンチャー、「タレー:アンバウンド」は東洋的な世界観を前面に押し出したアクションRPG。PUBG IPも「PUBG:デッドネット」によって、従来のバトルロイヤルとは異なるゲームプレイへと広げる。

今回の発表は、単なる新作告知にとどまらない。市場の反応を確かめ、フランチャイズ化の可能性を見極めるプロセスとしての意味合いも大きい。Subnautica 2で手応えを得た発掘・検証・拡大の手法を、異なるジャンルの新作群にも横展開する段階に入ったといえる。

◆業績は過去最高、新作の収益化が次の課題

複数の新作を同時並行で検証できる背景には、足元の業績拡大がある。Kraftonの今年上期の売上高は2兆6616億ウォン、営業利益は9725億ウォンとなり、半期ベースで過去最高を更新した。前年同期比ではそれぞれ73.3%増、38.3%増。2Qも売上高が1兆2902億ウォン、営業利益が4109億ウォンで、前年同期比94.9%増、67.0%増だった。

もっとも、業績に占めるPUBGフランチャイズの存在感は依然として大きい。Subnautica IPが第2の成長軸として定着しつつあるとはいえ、「ジャンルを超えるフランチャイズ企業」という方向性が、収益構造そのものを大きく変える段階にはまだ至っていない。

新作拡大に伴うコスト負担も重くなっている。2Qの営業利益率は31.8%と前年同期比で5.3ポイント低下し、上期でも36.5%と9.2ポイント下がった。ADKの連結組み入れに加え、ゲーム制作費やeスポーツ関連費用の増加が響いた。

今後の焦点は、既存IPで生み出した収益を、次のフランチャイズ候補へどこまで効率よく振り向けられるかにある。Kraftonによれば、gamescomで公開した5タイトルはいずれも2027年までの発売を目標に開発を進めている。

ジャンルやIPが異なっても、ユーザーがKraftonの名前から共通の品質と面白さを期待する状態をつくれるかどうかは、最終的には発売後の実績にかかっている。5本の新作のうちどのタイトルが長期フランチャイズへ育つのかが、「Kraftonが作れば面白い」というパブリッシャーブランド戦略の最初の試金石となりそうだ。

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