Gamescom 2026のKraftonブースに展示された「PUBG: Deadnet」。写真=Krafton

韓国ゲーム各社が、海外展開の定石を見直している。これまでは国内市場でヒットを確認した後に海外へ広げる手法が主流だったが、足元では開発段階からグローバルのPC・コンソール市場を意識し、海外ユーザーの反応を完成度向上や発売戦略に生かす動きが広がっている。

ドイツ・ケルンで開催中の「Gamescom 2026」は、その変化を象徴する場となった。KraftonやNCは既存主力IPへの依存を見直し、シューティングやアクションRPG、多人数対戦、協力アドベンチャーなどへ新作の幅を広げた。Kakao GamesやCom2uS Holdingsも開発中タイトルを現地で試遊に供し、海外の反応を探った。

背景には、Gamescomの国際的な存在感の高まりがある。今年は67カ国から1600社超が参加し、海外企業の比率は70%に達した。展示面積は23万3000平方メートルで、主催者によると用意したスペースは初めてすべて埋まったという。

◆MMORPG偏重から脱却、シューティングや協力プレイへ

変化が最も鮮明なのはKraftonだ。開幕前夜祭「オープニング・ナイト・ライブ(ONL)」で、「PUBG: Deadnet」「NO LAW」「プロジェクトZeta」「タレ:Unbound」「Age Twister」の5タイトルを公開した。「PUBG: Battlegrounds」の世界観拡張と、新規IPの発掘を同時に進める構えだ。

「PUBG: Deadnet」はPUBG IPにローグライト要素を加えた新作。「NO LAW」はオープンワールドのFPS RPG、「プロジェクトZeta」は戦術対戦ゲームとして打ち出した。「タレ:Unbound」のアクションRPG、「Age Twister」の協力アドベンチャーを含め、単一ジャンルに依存せず幅広いユーザー層を狙うポートフォリオを示した。

キム・チャンハン氏(Krafton代表)は会場で、「異なるジャンルと個性を持つ新作への挑戦を実行段階に移してきた」と説明。「新作パイプラインと制作リーダーシップを基盤に、ジャンルやコンテンツの枠を超えて長期成長を支えるフランチャイズIPを継続的に生み出していく」と述べた。

NCも同様の流れにある。ONLでは、チームベースのサバイバルFPS「Like or Die」と「Cinder City」、MMORPG「AION2」を公開した。「Like or Die」は正式な発売日が未定の段階で、Gamescomを通じてグローバルユーザーに初披露した。

「Cinder City」は14~16日に米国ユーザー向けのプレアルファ・プレイテストを実施し、韓国での発売前に海外の反応を先行して確認した。今回のGamescomでは、ディストピア化したソウルを舞台にした前日譚のシネマティック映像も公開している。

一方、「AION2」は昨年に韓国と台湾へ先行投入した後、10月5日にSteamとPurpleを通じて北米、南米、欧州、アジアへサービスを拡大する。NCでは、国内で検証してから海外展開する従来型と、「Cinder City」や「Like or Die」のように開発段階から海外の反応を探る手法が併存している。

Nexonも、スウェーデン子会社Embark Studiosの「ARC Raiders」の体験スペースを設けた。キム・ジョンウク氏(Nexon Korea共同代表)は「『ARC Raiders』をはじめ、韓国ゲームがグローバル市場で示している成果は、K-ゲームがトレンドを生み出す立場に立ったことを示している」と語った。

◆発表の場から市場検証の場へ

Gamescomの活用法も変わってきた。完成作の新作発表にとどまらず、開発中タイトルの反応を確かめ、今後の戦略に反映する市場検証の場としての役割が強まっている。

代表例が、Kakao Games子会社Ocean Drive Studioの「God Save Birmingham」だ。2024年のGamescomで初公開して以来、今年まで3年連続で出展している。プレアルファおよびアルファテスト参加者を対象に、協力モードのコアグループテストを実施し、その後はSteamでのベータテストへ広げる計画という。9月には米シアトルの「PAX West」にも参加し、複数の海外ゲームショウを通じてグローバルの反応を確認する方針だ。

Com2uS Holdingsも、PC・コンソール向け新作「Lone Chef」を韓国共同館に出展した。グローバルユーザーや業界関係者からのフィードバックを受け、完成度を高める考えを示している。

ゲーム会社の経営陣も、Gamescomを市場検証の場と位置付ける。ソン・ジュンホ氏(Smilegate代表)は「複数の新作とユーザーの反応を直接確認できる。来年以降に予定する自社新作のグローバルローンチ準備にも良い機会になる」と述べた。

海外進出のタイミングは「発売後」から「開発過程」へ前倒しされつつある。国内での成果を見てから動くのではなく、初期段階から海外ユーザーの反応を確認する手法が広がっている。

◆Gamescomの存在感拡大で、G-STAR再定義論も

Gamescomへの注目が高まるなか、韓国最大のゲームショウであるG-STARの役割を巡る議論も浮上している。

今回のGamescomには、カン・デヒョン氏とキム・ジョンウク氏(いずれもNexon共同代表)、キム・チャンハン氏(Krafton代表)、ソン・ジュんホ氏(Smilegate代表)らが来場した。韓国国会も初めて公式視察団を派遣した。

会場では、大手ゲーム会社がG-STARよりもGamescomや東京ゲームショウなど海外イベントに比重を移しつつある現状を踏まえ、G-STARのアイデンティティーを改めて定義する必要があるとの声が上がった。

チョ・スンレ氏(共に民主党議員)は、海外ゲーム会社が韓国ユーザーと接点を持てる環境づくりも必要だとした上で、「G-STAR独自の価値とアイデンティティーを整える作業が、より重要になっている」と述べた。チョン・ヨノク氏(国民の力議員)も、韓国ユーザーが世界のゲーム市場におけるテストベッドとなり得るよう、G-STARの地位を高める必要があると強調した。

ただ、これをもって韓国のゲームショウの競争力低下と断定するのは難しい。韓国ゲーム各社が開発段階からグローバルのPC・コンソールユーザーを主な対象とする中で、Gamescomのような海外イベントの役割が拡大しているためだ。Gamescomは新作発表、ユーザーテスト、パブリッシングや事業相談を一度に進められる。一方、G-STARは国内ユーザーとの接点に強みがあり、両イベントの役割分担はより鮮明になりつつある。

業界関係者の一人は「韓国ゲーム各社の間では、グローバル市場を見据え、開発初期から海外ユーザーの反応を確認しようとする動きが一段と強まっている」と指摘した。その上で「Gamescomの役割拡大に合わせ、G-STARも国内ユーザーとの接点にとどまらず、グローバルゲーム会社や新作を呼び込む方向で差別化を検討する必要がある」と話した。

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