AIによる半導体設計期間の大幅短縮の可能性を示した「Architect Labs」。写真=Architect Labs

米スタートアップのArchitect Labsは、自社チップ「Redwood」の設計・検証をAI活用により2週間で完了したと明らかにした。通常は1年以上を要する半導体開発工程を大幅に短縮できる可能性があるとして、業界の関心を集めている。

米Business Insiderが27日(現地時間)に報じたところによると、Redwoodの開発では、2人のチップアーキテクトが全体方針とアーキテクチャを定め、AIが詳細設計を担った。Architect Labsは、従来であれば開発に1年以上を要し、数億ドル規模の費用と約100人の専門人材が必要になるケースもあるとして、開発サイクルを大きく縮めたと説明している。

同社は2025年設立の新興企業。共同創業者兼CEOのエブラヒム・フセイン氏は、「AIモデルは急速に進化している一方で、それを動かす半導体の開発速度が追い付いていない」と指摘した。

Architect Labsは6月、ステルス状態を解いて事業を公表するのにあわせ、Kindred Ventures主導による2400万ドル(約36億円)のシード調達を発表した。TQ Ventures、Race Capital、Together Fundなどが参加し、ジェフ・ディーン氏をはじめとするAI・半導体分野の関係者も出資したという。

Redwoodは、MetaのLlamaやAlibabaのQwenといった大規模AIモデルの実行を想定して設計された。ただ、TSMCで製造された実チップではない。

現時点では、再構成可能な半導体であるFPGAに設計を実装し、検証を終えた段階だ。Architect Labsは、この結果を踏まえ、最終製品がロボットなどのエッジAI向けに使われるNVIDIAのJetson Orin Nanoを上回る効率を示す可能性があるとしている。

もっとも、外部の専門家は開発スピードには注目しつつも、最終的な評価には実製造が欠かせないとみている。セントラルフロリダ大学のハオ・ジョン教授は、2週間という期間は印象的だとした上で、「Synopsysをはじめ既存企業や複数のスタートアップも、AIを半導体設計に活用している」と述べた。

ジョン教授は、実チップが生産されて初めて、速度や電力効率、信頼性を適切に検証できると指摘した。

AIの誤りも不確定要素だ。UCサンタクルーズのマシュー・ガットハウス教授は、「AIはすでにチップ設計の複数の領域で強みを示しているが、想定外のミスを起こす可能性があり、綿密な監督と再検証が必要だ」と話した。

製造前に見逃された設計不具合は、数百万ドル規模の損失につながりかねないためだ。これに対しフセインCEOは、「自社のAIシステムは、人間に全面的に検証を委ねるのではなく、自ら設計エラーを確認できるよう構築している」と説明した。

Architect Labsは、AIがRedwood自体の改善点まで見いだし、設計とAIが相互に進化する循環を実現できるとみている。AIが継続的に設計を修正しているため、TSMCへの製造委託時期はまだ決めていないという。

フセインCEOは、半導体業界が工場を持たないファブレスに続き、大規模な人手による設計組織への依存も減らす「Designless」の時代に移行する可能性があるとの見方も示した。一方で、Redwoodが実際の製造後も現在の性能主張を裏付けられるかどうかが、AIによる半導体設計の実力を占う最初の試金石になりそうだ。

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