ジェンスン・フアン氏(エヌビディアCEO) 写真=Shutterstock

エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は27日、AIデータセンターが電力網に過大な負担を与えるとの批判に対し、むしろ電力インフラ投資を促し、電力コストの低下にもつながり得るとの見方を示した。米国ではAIインフラ拡大を巡り、地域住民の反発や建設抑制の動きが強まっている。

Business Insiderによると、フアン氏は米国内でAIインフラを拡大するには、業界側が地域住民への説明のあり方を見直す必要があると述べた。

CNBCのインタビューでは、テック業界やデータセンター事業者は、AIインフラ拡充に向けて地域社会とこれまで以上に緊密に連携すべきだと指摘した。データセンターの電力需要や環境負荷への懸念が高まるなか、業界が立地受け入れの必要性や地域にもたらす利点を十分に伝え切れていないとの認識を示した。

フアン氏は、データセンター建設を米産業再建の一環とも位置付けた。持続可能なエネルギーへの投資や送配電網の整備、エネルギー供給力の強化に寄与し得るとしたうえで、結果として電力コストを引き下げる機会にもなると語った。

その背景として挙げたのが、大規模な需要と資本流入だ。AI向けインフラへの需要拡大が、電力関連投資を後押しできるとの見方である。

もっとも、データセンターの増設が電気料金の上昇要因になり得るとの懸念は以前から強い。一方、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者は、データセンターの電力使用を需要の少ない時間帯に移せば、消費者負担を抑えられる可能性があると分析している。

電力使用を調整した場合、平均エネルギーコストは中部大西洋地域で最大4%、テキサス州で5%、西部11州で2%低下し得るとしている。

こうした発言は、エヌビディアのデータセンター事業が急拡大する局面で出た。エヌビディアは、2026会計年度第2四半期のデータセンター売上高が890億ドルとなり、前年同期比117%増だったと発表している。

AIインフラ拡充が同社業績を押し上げる中核事業であることが、改めて浮き彫りになった形だ。

フアン氏は、データセンター整備の遅れが米国の競争力低下につながる可能性があるとも警告した。地域社会や企業、国民が技術を受け入れなければ、米国は後れを取るとの考えを示した。

AI需要の拡大に対応したデータセンター建設は、単なる不動産開発ではなく、国家レベルの産業競争力に関わる問題だと強調した格好だ。

一方、米国内では逆風も強まっている。テキサス州のグレッグ・アボット知事は、州政府機関による総合監査が終わるまで、新規データセンター建設を事実上停止する措置を打ち出した。

アボット知事はABCのインタビューで、業界側が反発を招いたとして「彼らは自ら墓穴を掘った」「住民の反発は当然だ」と述べた。

米AI業界は、半導体供給や投資競争に加え、電力網の増強と地域社会の受容という課題にも同時に向き合う必要が出てきた。データセンターが電力インフラ改善の契機になり得るとする業界の主張と、生活費負担や地域環境への影響を懸念する住民の声との対立が、今後のインフラ拡大を左右する焦点となりそうだ。

キーワード

#AI #データセンター #エヌビディア #ジェンスン・フアン #電力網 #電力インフラ #米国 #テキサス
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.