トランプ米大統領(写真=World Liberty Financial)

トランプ米大統領は27日、米国の電力網で使用される外国製の大規模電力システムについて、輸入や設置、使用を再び制限する大統領令に署名した。国家非常事態も宣言し、国家安全保障上のリスクがあると判断された設備の購入や移転などを禁じる。

TechRadarによると、今回の措置は米国の個人や企業を対象に、国家安全保障上の懸念がある外国製電力システムの購入、輸入、移転、設置を禁止する内容。対象はハードウェアにとどまらず、ソフトウェアも含まれる。

米エネルギー省は今後、既存の電力システムに外国製のハードウェアやソフトウェアがどの程度組み込まれているかを調査する。あわせて、該当部品の切り離しや撤去が可能か、米国製代替品への置き換えが可能かも検討する方針だ。

大規模電力システムには、発電所や送電線、変電所に加え、これらを運用する関連機器やソフトウェアが含まれる。全米の電力生産と送電を支える高電圧インフラで、電力網の中核を成す領域と位置付けられている。

こうしたシステムに障害が生じれば、広範囲の停電につながる恐れがある。このため、サイバーセキュリティと国家安全保障の両面から機微な分野とみなされている。

トランプ氏は大統領令の中で、「一部の外国主体が米国の大規模電力システムの脆弱性を高め、それを悪用している」と指摘した。第1次政権でも、同システムが米国を標的とする悪意ある行為、とりわけサイバー攻撃の対象になり得ると判断していたと説明している。

そのうえで、攻撃が成功すれば、経済や人命、国家防衛に深刻なリスクを及ぼしかねないと強調した。

今回の大統領令では、最終的な判断権限は米エネルギー省が担う。同省が特定の外国製電力システムを国家安全保障上のリスクと認定した場合、米国内の個人・企業は当該システムを新たに輸入したり設置したりできなくなる。

もっとも、リスク認定の具体的な基準や執行方法は現時点で明らかになっていない。

同様の措置は初めてではない。トランプ氏は2020年半ばにも、敵対的な外国勢力が電力機器を通じて脅威をもたらす可能性があるとして、ほぼ同内容の行政措置を打ち出していた。

その後、バイデン政権は2021年1月にこの措置を90日間停止し、代替策の必要性を検討した。最終的には米エネルギー省が正式に撤回している。

今回の措置で特定の国や企業は明示されていないが、実質的には中国を念頭に置いたものとの見方が強い。トランプ氏は第1次政権以降、中国製機器が米国の市民や企業、政府に対する監視や情報収集に悪用される可能性があると警告してきた。

当時の政権は、国家安全保障とサイバー諜報への懸念を理由に、米国の5Gインフラから中国企業の排除を進めた。HuaweiとZTEが主な対象となり、Huaweiは2019年に米商務省の取引制限リストに追加された。その後、米連邦通信委員会(FCC)は両社を国家安全保障上の脅威と位置付けた。

米国は当時、通信事業者が連邦補助金を使って中国製機器を購入することも禁じ、設置済み機器を撤去する「リップ・アンド・リプレース」プログラムも導入した。今回は通信網ではなく、電力インフラに規制対象が広がった格好だ。

電力分野における中国のサプライチェーン上の影響力も、今回の措置の背景として挙げられている。Cyberscoopは、この大統領令について、米国のエネルギーインフラに入り込んでいる中国製機器への懸念に対応したものだと報じた。

同報道は国際原子力機関の資料を引用し、中国が太陽光サプライチェーンの生産能力の85%を占めるほか、電力用変圧器の製造でも主要供給国だと指摘している。

米エネルギー省は今後120日以内に、この命令の施行規則を整備する必要がある。策定にあたっては、他の主要省庁とも協議する方針だ。

今後の焦点は、どの機器やソフトウェアが実際に禁止対象となるのか、既存の電力網に設置された外国製設備をどこまで置き換えの対象とするのかにある。

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