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Nexonが「Dungeon&Fighter」(以下、DNF)IPの拡大戦略を加速している。第2四半期のDNFフランチャイズ売上高は前年同期比44%減となったものの、同社は縮小ではなく拡大に軸足を置く。既存タイトルの立て直しを進める一方、放置型やクラシック、新作3DアクションRPGなど方向性の異なる新作を投入し、ユーザー層と市場の裾野を広げる考えだ。

パトリック・ソーデルルンド会長は第2四半期の決算カンファレンスコールで、「Dungeon&Fighterは今年、立て直しの局面にある」と説明した。その上で、「スピードよりも正しい方向を優先している」と述べ、DNFを再び成長軌道に戻す方針に変わりはないと強調した。

Nexonは、既存のPC版・モバイル版DNFの競争力を高めつつ、「DNFキウギ」「Dungeon&Fighter Classic」「Project Overkill」「Dungeon&Fighter: Arad」といった新作の準備を進めている。既存サービスの回復と、新たなユーザー層の獲得を同時に狙う構えだ。

今年上半期は、PC版・モバイル版DNFの主要シーズンアップデートがいずれも期待を下回った。DNFは大規模シーズンアップデートの成否がユーザー指標や売上高に大きく影響する構造にあり、主要アップデートの不振がフランチャイズ実績の落ち込みにつながった。

これに対しNexonは、コンテンツ供給の拡充と新たなプレイ体験の追加で巻き返しを図る。イ・ジョンホンNexon日本法人代表は、シーズン単位の大規模アップデートの種類とコンテンツ制作量を増やすほか、レイドやレベル拡張に加え、DNFならではのアクション性を生かした新しい体験を盛り込む方針を明らかにした。

中国のモバイル版ではTencentとの協業も強化する。第3四半期からはTencentに開発を移管したコンテンツの投入を本格化させ、下半期のアップデート運営をよりきめ細かくしていく計画だ。

投資拡大は人員面にも表れている。DNFの開発会社Neopleは最近、12職種で大規模採用に着手した。従業員数も2020年の約800人から、足元では1500人規模へとほぼ倍増している。

既存サービスでコンテンツ制作と運営体制を見直す一方、新作ではDNF IPがリーチできるユーザー層と市場の拡大に重点を置く。各タイトルが狙うユーザー層と市場はそれぞれ異なる。

2026年第4四半期の発売を予定する「DNFキウギ」は、放置型ゲームとしてライトユーザーを主なターゲットに据える。イ・ジョンホン代表は、同タイトルについて「MapleStory」で進めてきたフランチャイズ拡張戦略に近い方向性だと説明した。

一方で、DNFの主要な拡張タイトルは社内開発が中心で、比較的高い採算性が見込める点がMapleStoryとの違いだとした。

MapleStoryはすでにフランチャイズ拡張で成果を上げている。第2四半期のMapleStoryフランチャイズ売上高は前年同期比63%増となり、四半期ベースで過去最高を更新した。「MapleStory World」と「Mapleキウギ」が成長を後押しした。

「Dungeon&Fighter Classic」はこれとは狙いが異なる。過去のPC版DNFに郷愁を持つユーザー層を対象に、2027年の発売を目標に開発中だ。新規ユーザーの獲得を狙う「DNFキウギ」とは異なり、既存ユーザーの呼び戻しを担う色合いが強い。

「Project Overkill」は、原作の2D横スクロールアクションを3DアクションRPGとして再構成する作品だ。「Dungeon&Fighter: Arad」は、DNFの世界観をグローバル市場に広げる役割を担うタイトルとして位置付けられている。

こうした展開は、Nexonが全社的に開発パイプラインの絞り込みを進める中でも継続されている点で注目される。

パトリック・ソーデルルンド会長は今年3月の資本市場向けブリーフィングで、「より少なく、しかしより大きく、完成度の高いゲーム」を作る方針を示し、製品ポートフォリオと開発パイプラインを再点検すると明らかにした。タイトルごとの収益性を見極め、開発資源を選別して配分する戦略だ。

その過程でも、「DNFキウギ」「Dungeon&Fighter Classic」「Project Overkill」「Dungeon&Fighter: Arad」は開発ラインアップに残っている。イ・ジョンホン代表もDNFを同社の重要な優先分野に挙げ、「DNFキウギ」を年内に投入し、その後「Classic」や「Overkill」などの拡張タイトルを来年から順次投入する計画を示した。

Nexonが全体のプロジェクト数を絞る中でもDNF関連の拡張作を維持していることは、同社がDNFを単なる長寿IPではなく、今後の成長を支える中核フランチャイズとして見ていることを示している。

もっとも、IP拡大がそのまま成果を保証するわけではない。昨年発売したDNF IPベースのアクションRPG「First Berserker: Khazan」は、発売当初こそ注目を集めたものの、その後の販売は市場の期待に届かなかったとの評価を受けた。Neopleはその後、開発組織の一部を他プロジェクトに再配置した。

焦点となるのは、既存DNFの反転攻勢と、新作によるユーザー基盤・売上源の拡大が同時に成果へ結び付くかどうかだ。

業界関係者は「DNFは認知度もユーザー基盤も十分に大きいIPだ。今後重要なのは新作の本数を増やすことではなく、これまでDNFを遊ばなかった層まで取り込めるかどうかだ」と指摘する。その上で、「クラシック、放置型、3Dアクションといった異なる展開が、実際にユーザー層の拡大と売上高の多角化につながるかが鍵になる」と話した。

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