XRPが急騰後の調整局面に入っている。背景には利益確定売りに加え、大手銀行が独自ブロックチェーンやトークン化預金を活用し、XRPを使わずに国際決済の事前資金負担を軽減する仕組みを広げていることがある。決済資産としてのXRPの立ち位置に改めて注目が集まっている。
ブロックチェーン系メディアのCryptopolitanが26日(現地時間)に報じたところによると、XRPは過去1週間で49.4%上昇した後、直近24時間では2.2%下落した。市場では短期的な値動きに加え、XRPの中核用途とされてきた国際決済分野の構造変化を意識する見方が強まっている。
XRPはこれまで、国境をまたぐ送金や流動性移転でブリッジ資産として機能するとの期待を集めてきた。だが、JPMorganやCitigroupなどの大手銀行が、独自のブロックチェーンネットワークとトークン化預金を通じて同様の課題解決に乗り出しており、XRPの差別化余地が薄れつつあるとの見方も出ている。
JPMorganは独自ブロックチェーン基盤「Kinexys」を軸に、この取り組みを進めている。6月には、ブロックチェーン預金口座で扱う通貨を米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、香港ドル、日本円、人民元、シンガポールドルの8通貨に拡大した。
顧客は同口座内の資金を24時間移動でき、異なる通貨間の交換もオンチェーンで処理できるという。
この仕組みでは、企業が別の暗号資産を中間的に購入しなくても国際決済を進められる。例えば、ドルを保有する企業が円で受け取る必要がある場合でも、JPMorganのシステム内で為替レートを適用して通貨を両替し、その記録をブロックチェーン上に残せる。
Citigroupも同様の方向に動く。同社の24時間稼働の米ドル決済ネットワークは40超の市場で250行以上と接続しており、Citi Token Servicesでは商業銀行預金をトークン化し、ブロックチェーン基盤で移転できるようにしている。
Citigroupは、両システムを組み合わせることで、機関投資家や法人が海外決済をより迅速に処理しつつ、各口座にあらかじめ資金を積み置く負担も減らせると説明している。決済に必要な流動性を複数の国・口座に事前に拘束しなくて済む点が要点だ。
処理速度だけを見れば、XRP Ledgerにはなお優位性がある。前述の仕組みの処理時間は約90秒で、XRP Ledgerの決済速度である3〜5秒より遅い。
ただ、企業にとっては単純な処理速度よりも、規制下にある銀行システム内で保有する現預金をそのまま活用できるかどうかが重要な判断材料になり得る。
SWIFTの動きも、XRPにとって新たな変数だ。SWIFTは共通の暗号資産を使うのではなく、各銀行が発行するデジタル預金を相互接続する方式を推進している。
銀行が発行するトークン化預金は、基本的にそれぞれの銀行のエコシステムにひも付く。例えば、HSBCの1ドル・トークンはHSBCの負債であり、Standard Charteredの預金トークンも同行のシステムに基づく。異なる銀行が発行したデジタル資産が、そのまま自動的に連携する構造にはなっていない。
SWIFTはこの課題を、メッセージングと照合・清算の調整機能で補完する考えだ。19日には、HSBCとStandard CharteredがSWIFTのブロックチェーン台帳を活用した初のクロスボーダー取引を完了した。
この取引では、両行がそれぞれのインフラ上で預金トークンを管理し、SWIFTが取引メッセージを中継したうえで、各銀行の義務を照合し、整合性を確認した上で、支払額を算出した。最終的な資金移転は既存の決済システムで実行された。
これはXRPとは異なるアプローチだ。XRPは自社台帳上で単一のデジタル資産を使って送金と決済を完結するのに対し、SWIFTは共通の暗号資産を用いず、異なるプラットフォーム上で発行された銀行トークンを接続する方式を採っている。
SWIFTのプロジェクトは初期実証の段階を超え、拡大局面に入っている。SWIFTは、6大陸の17行が同台帳を通じたトークン化預金の実取引を準備していると明らかにした。
HSBCもすでに6市場でトークン化預金サービスを提供しており、オフショア人民元、香港ドル、シンガポールドル、ユーロ、英ポンド、米ドル、アラブ首長国連邦ディルハムなどに対応している。
このため、足元のXRPの調整を単なる利益確定売りだけで説明するのは難しいとの見方が出ている。短期的には急騰後の反動がある一方で、中長期では銀行が独自ブロックチェーンとトークン化預金を通じ、XRPが解決を目指してきた国際決済の流動性問題を自前で処理しようとする流れが強まっているためだ。
今後、XRPが決済資産として競争力を維持するには、決済速度の優位性だけでなく、銀行主導の決済網と明確に差別化できる流動性や実用性を示せるかが問われそうだ。