SK Innovationは26日、SKアイイーテクノロジー(SKIET)を吸収合併し、分離膜事業を社内の事業部として再編すると明らかにした。重複組織の統廃合や生産・販売機能の集約に加え、SK Innovationの信用力を生かして金利負担を抑えることで、年間600億ウォン(約66億円)のEBITDA改善を見込む。合併期日は2027年1月1日。
同日の合併説明会で、キム・ユンフェSK Innovation経営戦略室長は「合併直後に見込まれるコスト削減効果は合計で年間600億ウォン規模になる」と述べた。そのうえで、追加のコスト削減余地についても引き続き洗い出す方針を示した。
合併後はSKIET法人を消滅させ、分離膜事業をSK Innovationの事業部として組み込む。事業戦略の策定から投資、生産、販売までの意思決定をSK Innovation内に集約し、一元運営する考えだ。
黒字化の時期については、EBITDAベースで2〜3年以内、営業利益ベースでは2029年の黒字転換を目指すとした。
需要開拓の柱には、エネルギー貯蔵装置(ESS)向け分離膜を据える。電気自動車市場の回復が遅れる中、ESS向け需要を新たな販売先として取り込む考えで、キム室長はSK OnのESS事業拡大に合わせてESS向け分離膜の生産を増やす方針を示した。
◆売却や出資ではなく吸収合併を選択、背景に稼働率20%
SK Innovationは吸収合併に先立ち、4つの選択肢を検討した。ソ・ゴンギSK Innovation財務本部長は、第三者への売却案について「上場企業の買収需要が乏しいうえ、分離膜事業の市場魅力度も低く、買い手の確保は容易ではなかった」と説明した。買い手探索やデューデリジェンス、条件交渉に時間を要する点も理由に挙げた。
このほかの3案も採用を見送った。資金貸与はSKIETの負債比率と利払い負担をさらに押し上げる。持分出資はSK Innovationの財務負担を増やす一方、SKIET既存株主の持分価値を希薄化させると判断した。包括的株式交換については、SKIETが別法人として残るため、財務リスクを根本的に解消できないとして除外した。
こうした判断の背景には低稼働率がある。SKIETの2026年1〜3月期における分離膜工場の稼働率は20%水準にとどまった。チョン・ジェソンSKIET経営支援室長は「分離膜事業は固定費比率が高く、生産量の減少が収益に大きく響く」としたうえで、「構造的な変化がなければ稼働率の改善は難しい」と述べた。要因として、電気自動車市場の減速、米国の補助金政策の変化、中国メーカーの能力増強に伴う価格競争の激化を挙げた。
2019年の分社当時から事業環境の前提が変わったことにも言及した。キム室長は、分社時は電気自動車市場の急成長を前提に、分離膜事業の収益最大化と専門性強化を狙っていたと説明した。一方で、2024年以降は市場成長が鈍化し、北米のOEM各社が生産計画を見直したことで、当初の前提が崩れたとした。
SKIETは現在、中国工場の売却や忠清北道・曽坪工場の稼働停止など、生産拠点の再編を進めている。チョン室長は、ポーランド工場にはこれまで約2兆ウォン(約2200億円)を投じており、年内に新規投資が完了する予定だと明らかにした。複数回に分けて実施した増資については、「新たな需要先が生まれたからではなく、投資執行の時期が分かれていたため、増資も分けて行った」と説明した。
◆資金支援に上限設けず、SK Innovationがリスクを引き受け
外部環境の改善が見通しにくいなか、リスク解消やEBITDA改善目標の達成が遅れる可能性もある。ただ、SK Innovationは事業維持に向けた資金支援に上限を設けない方針を示した。黒字転換が遅れた場合の追加資金負担について、SKIET側は「事業環境の悪化を前提に、資金投入額の上限を定めているわけではない」と述べた。
合併承認については、株主総会を開かず取締役会決議で進める従来方針を維持する。会社側は、持分希薄化の影響は限定的であり、合併後の収益改善で吸収可能と判断したため、法令に基づく小規模合併として進めると説明した。合併に伴う新株発行は、発行済み株式総数の約2.6%となる見通しだ。
両社は法定の外部評価対象ではないものの、それぞれ外部専門家を自主的に選任し、DCF法で妥当な合併比率を検証したと説明した。基準株価に基づく合併比率1対0.1174540は、その妥当レンジ内に収まるとしている。独立取締役のみで構成する特別委員会は、5月27日から8月25日までに6回開催した。
一方、株主還元策については現時点で示さなかった。ソ本部長は、2年連続の赤字で配当を実施できなかったとしたうえで、2026年も財務健全性の改善を最優先課題に据える考えを示した。中長期の利益水準や純借入金の規模、投資計画を精査したうえで、方針が固まり次第あらためて説明するとしている。SK Innovationは9月14日、オフラインの株主懇談会を開き、合併の背景と推進計画を追加説明する予定だ。