未上場の生成AI企業Anthropicに個人投資家が上場前から投資する手段として、ETFやクローズドエンド型ファンドを通じた間接投資が注目されている。ただし、いずれもAnthropic株を直接取得する方法ではなく、実際の組み入れ比率や手数料、換金性を見極めることが重要になる。
ブロックチェーン系メディアのCryptopolitanによると、Anthropicの年換算売上高は7月末時点で650億ドル(約9兆7500億円)を超えた。6月には、新規株式公開(IPO)に向けた初期段階のS-1書類を提出したとも報じられている。
もっとも、後期段階の未上場株投資は通常、ベンチャーキャピタルや機関投資家、創業者・従業員、富裕層が中心となる。このため、個人投資家がAnthropic株に直接投資するハードルは高い。
現時点で現実的な選択肢として挙がるのが、Anthropic株を組み入れたETFやクローズドエンド型ファンドだ。
ETFでは、iShares A.I. Innovation and Tech Active ETF、T. Rowe Price Technology ETF、KraneShares Artificial Intelligence & Technology ETFなどが候補として紹介されている。
このほか、Fred Alger Managementが運用するAlger 35 ETF、Alger AI Enablers & Adopters ETF、Alger Concentrated Equity ETFも、Anthropicへの間接投資手段として挙げられる。
ただ、ETF経由で投資しても、資金の大半がAnthropicに向かうわけではない。紹介された商品の中でAnthropicの組み入れ比率が最も高いAlger Concentrated Equity ETFでも、その比率は4%に満たない。
たとえば同ETFに1000ドル(約15万円)を投じても、1000ドル全額がAnthropicに投資されるわけではない。実際にAnthropicに回るのはその一部で、残りはETFが保有する他の資産に配分される。
代替手段としては、クローズドエンド型ファンドもある。キャシー・ウッド氏が率いるARK InvestのARK Venture Fundは、通常のETFとは異なり、最低500ドル(約7万5000円)から投資できるクローズドエンド型ファンドだ。純費用比率は2.9%とされる。
もっとも、クローズドエンド型ファンドには換金性の制約がある。一定の換金機会が設けられていたとしても、投資家が希望するタイミングで保有分を自由に全て売却できる仕組みではない。
より少額から投資できる商品としては、Fundrise Innovation Fundがある。Fundriseは、このファンドがAnthropicを含む複数の未上場スタートアップに投資しており、最低10ドル(約1500円)から投資できるとしている。
ただし、この商品もクローズドエンド型ファンドであるため、最低投資額が低いことと換金性の高さは別問題だ。Morningstarも、同商品の検討には別の考慮要素があると指摘している。
Anthropicの未上場株については、私募市場での評価価格も参考指標の一つとなる。Nasdaq Private Marketは8月11日時点で、Anthropicの1株価値を692.39ドル(約10万3860円)と提示した。
この価格は、私募取引の実績や公表されたバリュエーション情報、Nasdaq Private Marketの独自データを基に算出したものだという。
Anthropicは今後、IPOの手法や時期を決める前に、潜在投資家との初期協議を進めていると伝えられている。協議は最高財務責任者(CFO)のクリシュナ・ラオ氏が主導している。
クリシュナ・ラオ氏は、ClaudeファミリーやClaude Codeの開発状況、企業向けAI市場におけるAnthropicの位置付け、経営陣の体制や製品展開について潜在投資家に説明したとされる。
個人投資家にとって現時点のAnthropic投資は、あくまで限定的な間接投資にとどまる。IPOへの期待が高まる中でも、実際にどの程度のエクスポージャーを取れるのか、組み入れ比率、コスト、換金性、他資産との分散状況を含めて確認することが欠かせない。