写真=長鑫存儲(CXMT)

中国DRAM大手の長鑫存儲(CXMT)の増産ペースが頭打ちとなり、世界のメモリ市場で需給緩和への期待が後退している。低歩留まりに加え、米国による半導体製造装置の輸出規制が重荷となっており、供給不足と価格上昇圧力は当面続く公算が大きい。

米メディアCryptopolitanが25日付で報じたところによると、CXMTの月間ウエハー生産量は昨年末に約24万枚まで拡大したが、その後は増産ペースが大きく鈍化した。業界では、2026年を通じておおむね同水準で推移するとの見方が出ている。

足元の生産量は2024年比で約2倍に増えたものの、追加拡張は進んでいない。このため、市場ではCXMT単独では世界的なDRAM不足の解消には至らないとの見方が強い。

増産の制約要因として指摘されているのが、米国の先端半導体製造装置に対する輸出規制と歩留まりの低さだ。Counterpoint Researchによると、CXMTの第1世代10ナノ級DRAMの歩留まりはサムスン電子、SK hynixの両社を42%下回る水準で、絶対歩留まりも約50%にとどまる。

このため、生産能力を積み増しても、実際に出荷できるメモリ数量を大幅に増やしにくい構造にあるという。

生産規模でもなお差は大きい。推計では、CXMTが設備をフル稼働しても、生産規模はSK hynixの約半分、サムスン電子の約30%にとどまる。中国国内での存在感は高まっているものの、世界のメモリ需給を左右するほどの供給力には達していないとの分析が多い。

こうした供給制約はDRAM価格にも波及している。市場調査会社TrendForceは、2026年第3四半期の汎用DRAM契約価格が前四半期比で13〜18%上昇すると予測した。AIサーバ向け需要が強い一方、主要メーカーが生産量を調整していることが背景にある。

J.P. Morgan Global Researchは、2024年初から2026年末にかけてDRAM価格が400%超上昇する可能性があるとの見方を示した。ハイパースケーラーが長期供給契約を通じて調達量を先行確保し、一般向けに回るメモリが減っていることを理由に挙げている。

メモリ価格の上昇による影響は、データセンター向けにとどまらない可能性がある。スマートフォンやPCなど、消費者向け電子機器にも部材コストの上昇圧力が広がる見通しだ。

Omdiaは、2026年の半導体売上高全体に占めるメモリチップの比率が50%を超えると見込む。メーカー各社が相対的に採算の高いAI関連製品に生産能力を振り向け、一般電子機器向けメモリの供給が減る可能性があるためだ。

もっとも、CXMTの成長そのものが止まったわけではない。政府支援に依存していた赤字局面を脱し、2026年第1四半期には75億ドルの売上高を計上した。さらに、86億ドル規模の上海証券取引所上場も果たした。

ByteDanceとは、5年間で70億ドル超の長期メモリ供給契約を締結した。一部取引では、中国の顧客に対し、サムスン電子やSK hynixを上回る価格で販売した事例もあったと伝えられている。Counterpoint Researchは、CXMTの世界DRAMビット出荷シェアを約9%と推計している。

一方で、課題は中国国内需要を賄う供給余力がなお不足している点にある。中国政府はCXMTに対し、国内顧客向けを優先するよう求めているが、現行の生産量でも中国内需を満たすにはなお逼迫した状況にあるという。

Goldman Sachsは、CXMTが2026年に中国のDRAM需要の約41%を賄うと予測する。2028年時点でも充足率は50%前後にとどまる見通しだ。中国がサムスン電子やSK hynixなど海外メーカーへの依存低下を目指していても、短期での代替は難しいことを示している。

世界の競合各社も増設を進めているが、新工場の立ち上がりには時間がかかる。SK hynixは8月初め、54兆ウォンを投じて新たに2つのファブを建設すると決めた。ただ、Y2 DRAM工場がクリーンルーム段階に入るのは2029年半ばになる見通しだ。

サムスン電子のメモリ事業も足元で過去最大の四半期売上高を記録したが、供給制約は2026年下半期まで続くとみている。

CXMTは2027年に上海と北京の新工場を稼働させ、月間生産能力を42万枚まで引き上げる計画だ。ただ、本格稼働までにはなお時間を要する。この間は限られた供給と高水準のAI需要が重なり、DRAM価格の上昇圧力が続く可能性が高い。

中国メモリメーカーの追い上げは続いているが、短期的にはCXMTの増産余地の乏しさが、世界のDRAM不足を和らげるよりも、価格上昇を後押しする要因として作用しそうだ。

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