Binanceで22日、ビットコイン(BTC)が一時7万2500ドルまで急落し、他取引所との価格差が最大3300ドルに広がった。これを受け、ベテラントレーダーのピーター・ブラントは、取引所の約定・清算インフラの信頼性に疑問を呈した。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが25日に報じたところによると、ブラントは今回の急変について、個人投資家のロスカット注文やレバレッジポジションの清算を不自然に誘発した可能性があると指摘した。
問題の値動きは22日の取引中に発生した。BinanceのBTC/USDの1時間足チャートでは、価格が数秒で7万2500ドルまで下落し、長い下ヒゲを付けた。一方、市場全体では同時間帯も7万9000ドル前後で推移していた。
取引所間の比較でも大きな乖離が確認された。同時間帯のCoinbaseの安値は7万5800ドルで、Binanceとの差は最大3300ドルに達した。この水準差だけでも、Binanceの利用者にとっては証拠金不足を招き、レバレッジポジションの清算やロスカットが連鎖しやすい状況だったとみられる。
ブラントは今回の事象を、Binanceにおける「また一つの問題事例」だと位置付けた。実勢の市場安値を大きく下回る水準で個人投資家の損切りが執行された可能性があるとし、2025年10月10日に起きた類似事例にも言及した。
背景には、暗号資産市場特有の流動性構造もある。暗号資産の売買は複数の民間取引所に分散しており、特定の取引所で大口の成行売りが出た場合、その取引所の板だけが瞬間的に薄くなることがある。Binanceで大口の売り注文が約定した際、同じ価格帯で受け止める買い注文が不足すれば、当該取引所の価格だけが急激に押し下げられる。
その後は、強制清算が追加の売りを呼ぶ連鎖が起きる。初動の下落がレバレッジポジションの清算を招き、清算に伴う売りがさらに価格を押し下げることで、下落が雪だるま式に拡大する。今回はこうしたメカニズムによって、BTC価格が7万2500ドルまで押し下げられた可能性がある。
今回の値動きでは、注文の基準価格の設定リスクも改めて浮き彫りになった。取引所内部の最終約定価格を基準に保護注文を設定している場合、流動性が乏しい局面では、その取引所だけの瞬間的な急落でもロスカットや清算が発動し得る。これに対し、市場全体を反映する加重基準価格であるマークプライスの採用は、こうした局地的な急落への有力な対策とされる。
今回の事象は、市場全体の動きと乖離した異常値が単独の取引所で発生した点で、取引所ごとの流動性の差や清算基準の設計が個人投資家の損失に直結し得ることを改めて示した。市場参加者に対し、各取引所の約定方式や清算ルールをより慎重に見極める必要性を示す事例ともいえそうだ。
ブラントはX(旧Twitter)への投稿で、「2026年8月22日、Binanceでは一部の個人投資家が、他取引所の安値より3000ドル低い水準でビットコインの損切りを強いられた。Binanceには歴史的に残酷なストップ狩りの前例がある」と主張した。