写真=Reve AI。マイケル・セイラー氏とビットコインのイメージ

マイケル・セイラー氏は、ビットコインを基盤とする金融商品の拡大が進んでも、変わるべきなのは金融システムの側であり、ビットコイン自体の設計ではないとの考えを示した。機関投資家の需要は、プロトコルの外側にある金融レイヤーで受け止められると主張している。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanによると、セイラー氏は25日、銀行や企業、保険会社、政府がビットコイン連動の商品を導入しても、変化するのは資本市場の構造であって、ビットコインそのものは変わらないと述べた。

同氏の主張の軸にあるのは、機関投資家の需要をビットコイン・プロトコルの外側で吸収できるという考え方だ。6月に公表した「ビットコイン、デジタル信用、そしてデジタル通貨」と題する文章では、5層からなる金融構造を提示。最下層にビットコインを置き、その上にデジタル信用、デジタルマネー、デジタル収益、デジタル資本が積み上がる構図を示した。ビットコインは「純粋で希少な資本資産」と位置付けている。

セイラー氏は、この構造にはステーキングやプロトコル変更、ビットコインを模した新たな通貨は不要だと強調した。住宅ローンや地方債、優先株といった、既存の資本市場で確立された仕組みの延長線上で機能するという。

さらに、ビットコインを担保とする利回り商品は、現物保有よりもボラティリティが低くなる可能性があるとも指摘した。企業の普通株のような下位トランシェが、より大きなリスクを吸収する構造を例に挙げた。

こうした構想は理論にとどまっていない。Strategyは6月29日、取締役会が「デジタル信用資本フレームワーク」を承認したと公表し、その後の米証券取引委員会(SEC)への開示でも内容を具体化した。

同社によると、6月28日時点のドル準備金は約25億5000万ドル。優先株配当と関連利払いの見込み額に対し、約17.4カ月分に相当する水準だ。準備金だけで当面の支払いを賄えるとし、その後はビットコイン売却代金や他の資本市場取引で補う方針を示した。

市場動向もまた、ビットコインの制度金融への組み込みが進んでいることを示している。Fidelityは、1月30日時点でビットコイン現物の上場投資商品(ETP)が約130万BTCを保有し、流通量の約6.4%を占めたと集計した。資金フローが価格形成に与える影響が強まることで、従来の4年ごとの半減期サイクルの影響力が弱まっている可能性も指摘している。

CoinSharesが8月に実施したファンドマネジャー調査でも、同様の傾向が示された。約1兆1600億ドルを運用する投資家は、デジタル資産の組み入れ比率をポートフォリオ全体の1.2%に引き上げた。2025年10月の売り圧力以降、初めての増加としている。

一方、調査ではビットコインの見通しは引き続き堅調だったのに対し、イーサリアムはクラリティ法案の遅れやイーサリアム財団からの人材流出を背景に、見通しが弱含んだとした。

もっとも、セイラー氏は金融商品化の拡大に伴うリスクにも警鐘を鳴らしている。ビットコインの大きなリスクの一つとして「アイデンティティの毀損」を挙げ、リスクを抑えるためのネットワーク改善の試みが、かえってビットコインを損なう可能性があると指摘した。

このため、機関投資家の採用はビットコインに連動させつつも、ビットコイン・プロトコル自体を活用したり変更したりする形で進めるべきではないとの見方を示した。規制対応機能や利回り商品、信用トランシェ、ドル連動型の仕組みは、ネットワークのルールに手を加えない上位レイヤーで構築できるという。

セイラー氏の主張を要約すれば、ビットコインは原型を保ったまま、その上に載る金融システムの側が適応すべきだということになる。機関資金の流入が拡大しても、焦点はプロトコル変更ではなく、周辺の金融商品や資本構造の拡充に置かれるとの見立てだ。

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