NVIDIAが25日に発表する四半期決算を前に、少数のハイパースケーラーに売上が集中する事業構造への警戒が強まっている。株価は7営業日続落しており、市場ではデータセンター事業の成長持続性に加え、AIクラウドや企業向けを含むACIEの拡大、新たな金融プログラムの効果が焦点になっている。
CNBCによると、ウォール街ではNVIDIAがAIブームの最大の恩恵を受ける企業との見方でおおむね一致している。ただ、Amazon、Alphabet、Microsoftなど一部の大口顧客への売上集中が、長期成長を占ううえで重要な論点として浮上している。MetaやSpaceXも自社AIモデルの構築に向けてGPUを大量に調達しており、余剰分を必要とする企業に貸し出し始めているという。
NVIDIAは5月の決算発表から、データセンター顧客をハイパースケーラーとACIEに分けて開示している。ACIEは、AIクラウド、産業、企業向けをまとめた区分。ハイパースケーラーに含まれる企業名は開示していないが、ジェンスン・フアンCEOは5月の決算説明会で、「最も簡単な市場参入経路は、もちろんハイパースケーラーだ。5〜6社しかないからだ」と述べたうえで、「それ以外の市場は世界で25万社に相当する」と説明していた。
5月時点で公表された1-3月期実績では、両部門の売上高はほぼ同水準だった。ハイパースケーラー向けは379億ドル、ACIEは約375億ドル。一方で前期比の伸び率は、ACIEが31%とハイパースケーラー向けの12%を上回った。大口顧客中心の売上構造を維持しつつ、より裾野の広い需要を取り込めるかが課題であることを示した形だ。
市場ではすでにこの点への懸念が株価に表れ始めている。NVIDIA株は直近の月曜日に2.9%下落し、7営業日続落。2022年以降で最長の下落局面となり、この間の下落率は累計7.5%に達した。投資家は顧客基盤の多様化を求める一方、主要顧客がAI投資をさらに積み増せるかにも神経をとがらせている。AmazonとAlphabetは2-6月期のフリーキャッシュフローが赤字に転落し、Metaのキャッシュ創出力は1年前から90%以上縮小した。イーロン・マスク氏が率いるSpaceXとTeslaも、AI投資拡大の過程でフリーキャッシュフローがマイナスとなった。
ディープウォーター・アセット・マネジメントのマネージングパートナー、ジーン・マンスター氏はインタビューで、「投資家はNVIDIAの上昇基調がどこまで続くのか、ハイパースケーラーがこれ以上大幅な支出拡大を続けられるのかを懸念している」と指摘した。そのうえで、「次の焦点は、他の顧客層が本格的に立ち上がるかどうかだ」と述べた。
NVIDIAは5月、直近9四半期分の実績を組み替えたデータを自社サイトで公表した。それによると、直近1年ではハイパースケーラー向けがデータセンター売上高の約55%を占めた。もっとも、直近四半期ではハイパースケーラー向け売上高が前年同期比115%増となり、ACIEの74%増を上回っている。
ただ、アナリストは今後この構図に変化が出るとみている。ストリートアカウントの集計では、2-6月期のACIE売上高は前年同期比149%増の430億ドル、ハイパースケーラー向けは83%増の436億ドルと予想されている。ハイパースケーラー向け成長の一因としてはSpaceXが挙げられる。マンスター氏は、SpaceXが今後1年でNVIDIAベースのデータセンターを急速に構築しようとしていると説明した。
ロンドン証券取引所グループ(LSEG)の集計によると、NVIDIAの2-6月期売上高は前年同期比でほぼ倍増となる922億ドルに達する見通し。ストリートアカウントは、このうちデータセンター事業が863億ドルと全体の94%を占めると予想している。1-3月期の92%からさらに上昇する計算だ。LSEGによれば、通期売上高は今年が83%増の3960億ドル、その後は来年に44%増へと伸び率が鈍化する見込みだ。
こうしたなか、NVIDIAは新規顧客の拡大に向けた手も打っている。ラック単位のシステムを購入できるだけの資金力を持つ企業が限られることを踏まえ、ウォール街と連携し、GPUを投資対象として扱う枠組みづくりを進めている。
今月初めには、主要金融機関6社とともに新たな金融プログラムを公表した。半導体を不動産のように投資可能な資産と位置付け、投資家から最大5000億ドルの資金を呼び込む可能性があるという。フアン氏は、半導体が収益を生む構造を通じて、より多くの企業が低い金利でGPU購入資金を調達できるようになるとの見方を示した。NVIDIAは発表時に投資会社と覚書を締結したとしているが、詳細の開示は限定的だ。
今回の決算では、出荷拡大が始まったばかりの「Vera Rubin」システムの売上高も注目点となる。フアン氏は年初の自社イベント「GTC」で、現行世代の「Blackwell」とVera Rubinを通じ、2027年までの累計売上高が1兆ドルに達するとの見通しを示していた。
Vera Rubinが想定を上回る立ち上がりを見せれば、少数顧客への依存に対する懸念を和らげる材料になり得る。買い推奨を付与しているKeyBancのアナリストは週末のリポートで、「Rubin GPUの出荷拡大が業績上振れの主因になる」とし、力強い業績とガイダンスを見込むとの見方を示した。