中国企業は生産拠点にとどまらず、技術供給源として存在感を高めている(写真=Shutterstock)

中国のAI、EV電池、車載ソフトウェアの技術が、グローバル大手企業のサプライチェーンに急速に組み込まれつつある。米CNBCが14日(現地時間)に報じた。

象徴的な事例として、Appleは中国向けAIサービスでAlibabaとBaiduを活用し、FordはCATLの電池技術を採用している。

こうした動きは個別の提携にとどまらない。業界では、中国が「製品を売る市場」から「技術や開発力を取り込む先」へと位置付けを変えつつあるとの見方が広がっている。VolkswagenはXpengと中国市場向けスマートEVを共同開発し、StellantisもLeapmotorとのEV生産や共同調達で協業を広げている。

IDC Chinaのキティ・ポウ氏は、「5年前の中国はグローバル企業にとって製品の販売先だったが、今は一部産業で能力を調達する先になった」と指摘した。

背景には価格競争力だけでなく、生産規模、サプライチェーンの統合力、開発スピードがある。Counterpoint Researchのスーメン・マンダル氏は、2025年の世界EV市場でBYD、Changan、Cheryなど中国完成車メーカーのシェアが約63%に達し、CATL、BYD、CALB、Gotionといった中国電池メーカーのシェアも70%近くに達したと説明した。

同氏は、中国技術の台頭は単なる低コスト生産を超え、規模の優位性や供給網の厚み、イノベーションの速度が競争力の中心になっていると評価した。

この変化が最も先行しているのがEV電池だ。CATLはすでに世界の自動車産業に深く組み込まれている。

Fordは、米ミシガン州で建設を進める35億ドル(約5250億円)規模の電池工場で、CATLのリン酸鉄リチウム(LFP)電池技術を採用する方針だ。ポウ氏はEV電池について、「構造転換はすでに完了した」との見方を示した。そのうえで、供給元の切り替えは四半期ごとに見直す調達案件ではなく、数年単位の設計、試験、再認証が必要になると述べた。

AI分野でも同様の変化がみられる。ただし一部では、中国国内事業への対応が直接の要因になっている。

海外企業が中国でAIサービスやクラウドインフラを運営する場合、規制上、現地企業との協力が避けられないケースが多い。ポウ氏はAppleの事例に触れ、「中国では選択の余地が乏しい場合が多い」と語った。

一方で、中国技術の採用は、単なる現地規制への対応にとどまらないとの見方もある。市場調査会社Omdiaのリャン・ジェスー氏は、電池、EV、エネルギー貯蔵装置、応用AIの分野で、供給網とイノベーションの潮流が「緩やかながら持続的な構造転換」を起こしているとみている。

特に、グローバル完成車メーカーが中国市場で販売を続けるため、ソフトウェアやAI、各種車両システムで中国サプライヤーの採用を拡大している点を主因に挙げた。

AIモデルの競争力も新たな判断材料になっている。IDCが今年実施した欧州企業調査では、中国製AIモデルを幅広く導入した理由として、コストよりもセキュリティや規制順守、性能面の優位性を挙げる回答が多かった。

ポウ氏は、「西側企業が安さを理由に中国AIを選ぶという従来の見方は崩れつつある」と述べた。「意思決定を主導するのは性能で、規制順守は越えるべきハードルになっている」とも語った。AlibabaやDeepSeekがオープンソースモデルに注力してきたことも、世界の開発者にとっての利用しやすさを高めた要因として挙げた。

米国の対中技術規制は強化が続いている。米政府は2019年にHuaweiを制裁対象に加えた後、先端半導体や半導体製造装置の輸出を制限してきた。さらに、中国の半導体、量子技術、AI分野に対する一部の米国資本投資も制限しており、SMICなども制裁対象に含まれている。

それでもリャン氏は、こうした規制が中国国内の技術革新と効率化を促す契機になったとみる。米国の規制によって中国企業の国内イノベーションと効率性が加速し、AI、電池、車載ソフトウェアの分野で競争力を維持していると指摘した。

もっとも、中国技術の広がりがすべての分野で同じペースで進むわけではない。リャン氏は、先端半導体やサイバーセキュリティ連動サービス、国防、国家安全保障関連では、中国技術への抵抗が最も強いと予測する。

一方、マンダル氏は、EV、電池、民生用電子機器、ロボット、ドローン、一部のAIおよび半導体分野で、中国技術の採用が世界的に一段と広がると見込む。

中国技術の役割は業種によって異なる。電池や電子機器製造では構造変化がかなり進み、AIは転換局面に入り、車載ソフトウェアはなお初期段階にある。グローバル企業は今後も、地政学リスクを見極めながら、性能、供給網、中国市場へのアクセスという現実的な要請の間で判断を迫られそうだ。

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