新型GPUの販売だけでなく、旧世代GPUの流通価値維持も視野に入れた構想だ(写真=Shutterstock)

NVIDIAが、AIデータセンター向け投資を後押しする新たな金融スキームを打ち出した。自社GPUを担保にした融資で、担保価値が想定を下回った場合に差額の一部を同社が負担する仕組みで、最大5000億ドル(約75兆円)規模の投資資金を呼び込むとともに、旧世代GPUの二次市場活性化も狙う。

米TechCrunchが13日(現地時間)に報じたところによると、NVIDIAは今週、Apollo、BlackRock、Blackstone、Brookfield、Goldman Sachs、KKRなどがAIデータセンター建設に最大5000億ドルを投じる意向だと明らかにした。

枠組みの中核となるのは、GPUを担保とする融資だ。データセンター所有者はNVIDIA製GPUを担保に資金を調達し、債務不履行時に担保処分した際、売却額が想定を下回れば、その差額の最大25%をNVIDIAが負担する。GPUの残存価値を一部保証することで、金融機関のリスクを抑える狙いがある。

もっとも、市場では異例の仕組みとの受け止めも出ている。GPU需要が鈍れば中古価格が下落し、担保価値も低下するためだ。その場合、NVIDIAはGPU販売の減速と保証負担の増加が同時に起こる可能性を抱えることになる。

こうした懸念を意識してか、ジェンスン・フアンCEOはX(旧Twitter)で自ら説明した。「これが循環金融か」との指摘に対し、今回の計画はむしろそうした懸念を和らげるためのものだと強調。資金とリスクの大半は外部の金融機関が引き受け、NVIDIAが保護するのはGPUの将来価値の一部にとどまると説明した。

NVIDIAの狙いは、単なる資金調達支援にとどまらない。最新GPUの投入で前線を退いた旧世代チップについても、別の事業者やクラウド企業、データセンター運営会社へと流通し、継続利用される市場を育てることにある。

フアンCEOは、需要構造が変化してもデータセンター資産は別の顧客やクラウド事業者、運営会社に活用され得ると指摘した。NVIDIAのコンピューティング・エコシステムが広がるほど、GPUの残存価値を支えやすくなるとの考えも示した。新型GPUを販売して終わりではなく、中古や旧世代GPUまで流通する市場を整え、ハードウェアのライフサイクルを延ばす戦略といえる。

NVIDIAはすでに、AI企業やデータセンター事業者に対する大規模な資金・供給コミットメントを拡大している。OpenAIやAnthropicのほか、CoreWeave、Nebius、Perplexity、Lambdaなどと数十億ドル規模の取引を進めており、CoreWeaveはGPUを担保に活用した金融スキームの代表例として挙げられている。

背景には、AIデータセンター投資に伴う資金調達負担の増大がある。Oracleの負債拡大やGoogleの新規株式発行、Metaの巨額な現金支出は、AIインフラ投資が企業財務に重い負担を及ぼしていることを示している。

この構想の成否は、AI需要がどこまで持続するかに左右される。AI活用の勢いが鈍ったり、より効率的な技術が登場したりすれば、GPU価格と担保価値は同時に下落しかねない。一方でAIインフラ需要が続けば、NVIDIAは新型GPUの販売拡大に加え、中古・旧世代GPUの取引市場も押さえ、自社チップの残存価値を高める可能性がある。

キーワード

#NVIDIA #人工知能 #AIデータセンター #GPU #担保融資 #残存価値保証 #二次市場
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.