20日に改正特定金融情報法(特金法)が施行され、デジタル資産業界の事業再編や資本参加の構図に影響を与えそうだ。審査対象は事業者本体にとどまらず、大株主や支配関係にも広がる。大株主の軽微な法令違反には例外規定が設けられ、Naver FinancialとDunamuの株式交換を巡る規制上の不透明感はやや和らぐ一方、財務健全性や内部統制の要件強化により、中小事業者の負担は増す見通しだ。
金融情報分析院(FIU)と金融監督院は13日、デジタル資産事業者と参入予定事業者を対象に、改正後の申告マニュアルに関する説明会を開いた。2月19日に公布された改正特金法の20日施行に合わせ、大株主適格性審査を含む強化後の申告審査基準を具体化するのが狙いだ。
改正特金法の柱は、デジタル資産事業者の申告審査の範囲を、従来の事業者単体から大株主や支配関係にまで広げた点にある。
改正法では、最大株主と主要株主を「大株主」と定義した。主要株主には、議決権のある発行株式の10%以上を保有する株主のほか、役員の選任・解任などを通じて主要な経営事項に実質的な影響力を及ぼす株主などが含まれる。
施行令では、最大株主に加え、代表取締役または取締役の過半数を選任した株主なども審査対象に含めた。最大株主が法人である場合には、その法人の支配関係まで確認できるよう審査範囲を明確にした。
大株主の法令違反歴も審査対象となる。従来の外国為替取引法や金融関連法に加え、公正取引法、租税犯罪処罰法、特定経済犯罪加重処罰等に関する法律、仮想資産利用者保護法などが対象に追加された。
一方で、大株主適格性の判断には例外も設けられた。11日に閣議決定された特金法施行令では、大株主が関連法令違反で刑事処分を受けた場合でも、違反の程度が軽微なケースや両罰規定に基づく処罰に当たるケースでは、欠格事由から除外できるとした。
規制合理化委員会は先月、資本市場法など他の金融法との均衡を踏まえ、例外規定を設けるよう改善を勧告していた。今回の最終施行令には、その内容が反映された格好だ。
これにより、Naver FinancialとDunamuの包括的株式交換を巡る規制上の不透明感も、一定程度後退したとの見方が出ている。
Naver FinancialとDunamuは、包括的株式交換を通じてDunamuをNaver Financialの100%子会社とする手続きを進めている。Naverは不動産物件情報市場に関する公正取引法違反事件で、昨年9月に一審で罰金刑の言い渡しを受けており、現在は控訴審が進んでいる。
このため、改正特金法の施行後は、Naverの過去の法令違反歴がDunamuの大株主適格性審査における不確定要因になり得るとの懸念が指摘されてきた。
ただ、施行令に軽微な違反や両罰規定に該当する場合の例外を認める根拠が盛り込まれたことで、過去の公正取引法違反歴だけを理由に取引が直ちに阻まれる可能性は低下した。
業界では、この例外条項が今後、金融会社や大企業によるデジタル資産事業者の買収や出資にも影響するとみている。企業による軽微な経済法令違反まで一律に欠格事由とすれば、デジタル資産市場への参入を過度に制限しかねないとの懸念があったためだ。
その一方で、既存のデジタル資産事業者に求められる規制負担は重くなる。
金融当局は、デジタル資産事業者に対し、直近四半期末の財務諸表ベースで負債比率を200%以下とするよう求める。デジタル資産利用者保護法に基づいて保管する利用者預り金は負債総額から除外する。加えて、直近3年間に債務不履行などで健全な信用秩序を損なった事実がないこと、不良金融機関などに該当しないことも要件とした。
法人である大株主についても、原則として直近四半期末基準で負債比率200%以下などの財務健全性基準を適用する。ただし、改正申告マニュアルでは、大株主が金融機関である場合には当該会社に負債比率要件を適用しないなど、一部の例外を設けた。
組織体制と内部統制の要件も厳格化する。事業者は、マネーロンダリング対策と利用者保護のための組織を整備したうえで、一定要件を満たす報告責任者とコンプライアンス監視人を置くなど、適切な組織・人員、電算設備、内部統制体制を確保しなければならない。
こうした制度変更により、大企業・金融会社と中小事業者では影響が分かれそうだ。大企業や金融会社にとっては、大株主適格性審査で軽微な違反などに例外が認められたことで、市場参入を巡る不透明感が一部薄らいだ。
一方、資本力で劣る中小事業者は、財務健全性に加え、組織・人員や内部統制に関する基準も満たす必要があり、対応負担が増す可能性がある。
新たな申告マニュアルでは、書類審査にとどまらず、現場点検などを通じて組織やシステムが実際に運用されているかどうかも確認する方針を明確にした。強化された申告制度が、中小事業者に資本増強や事業再編を促す要因になり得るとの見方が出る背景には、こうした審査実務の厳格化がある。
業界では、今回の制度改正が、取引所を含むデジタル資産事業者の支配構造再編にも影響するとみている。大株主の欠格事由に例外を設けて大規模資本の参入余地を残す一方、既存事業者には一段と高い財務健全性と内部統制能力を求める構図になるためだ。
業界関係者は「大株主適格性審査で法令違反の軽重を判断できるようにした点は、金融会社や大企業のデジタル資産市場参入に伴う不確実性を減らす」としたうえで、「一方で中小事業者は、強化された財務健全性や組織・人員基準を満たさなければならず、今後の資本増強や事業再編の負担が重くなり得る」と述べた。