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ロシアのスタートアップが、複数の電子線を同時に用いて半導体露光を高速化する「マルチカソード電子線露光」技術を発表した。開発チームは、シリコンウェハー1枚の露光時間を約5〜7分に短縮できるとしている。ただ、現時点で確認されたのは中核部品である電子線源の動作までで、装置全体としては研究開発段階にある。

ITメディアのTechRadarが8月12日(現地時間)に報じた。ロシアの開発チームは、複数の電子線を同時に発生させるマルチカソード電子線源を開発し、実動作を確認したと明らかにした。単一の電子線を使う方式では同じ工程に1〜2週間かかる場合があるとしており、新方式ではこれを大幅に短縮できると主張している。

中核開発者のエフゲニー・ギバルギゾフは、マルチカソードの製作に必要な一連の技術を確立し、動作確認まで進めたと説明した。

今回の技術の特徴は、1つの光学系で電子線を分岐させるのではなく、複数の電子線源そのものを並列配置する点にある。一部の海外システムがミラーやシャッターなどを用いてビームを分割するのに対し、ロシア側は電子線を発生させる源を複数備える構成を採用した。

開発チームは、この構成によって光学系の簡素化を図れるほか、装置の消費電力やコストの抑制にもつながるとみている。マルチカソード配列の先端半径は1.5〜2ナノメートルで、これまでに製作された電子線源の中でも非常に鋭い水準だとしている。

もっとも、露光装置として完成した段階には至っていない。今回動作が確認されたのは、あくまでマルチカソード電子線源という中核部品であり、実際の半導体露光装置として統合する工程が残されている。

ロシア国家技術イニシアチブのマイクロエレクトロニクス分野の専門家、セルゲイ・サゾノフは、マルチカソードを大規模かつ安定的に制御できれば有望なアプローチになり得ると評価した。一方で、産業用装置として実用化するには、なお追加の技術開発が必要だと指摘した。

エンジニアリング分野の専門家セルゲイ・バルナプスキーも、実証されたのはマルチカソード部品の動作に限られるとの見方を示した。資金調達が遅れれば、海外の競合技術との差がさらに広がる可能性があると警鐘を鳴らした。

開発にはなお時間を要する見通しだ。研究チームは、完全に動作する試作機の製作に約3年かかると見込む。対象とするプロセスは350ナノメートル級から数ナノメートル水準までとしている。また、現段階では解像度を左右する主因は電子線そのものよりフォトレジスト性能にあるとも説明した。

今後の焦点は、実機で今回示した処理速度を再現できるかどうかにある。マルチカソードの安定制御、装置全体の統合、フォトレジスト性能の改善に加え、継続的な資金確保も欠かせない。現時点では、既存の半導体露光装置を代替する技術というより、高速な電子線露光の実用化を目指す研究開発段階の技術とみられる。

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