Teslaの運転支援システム「フルセルフドライビング(FSD)」の海外展開が、中国と欧州で相次いで壁に直面している。中国では自動運転規制と車両データ規制が障壁となり、欧州では安全性審査の非公開が新たな争点に浮上した。EUは10月6日、FSDの域内承認の是非を採決する予定だ。
12日付の電気自動車専門メディアCleanTechnicaによると、中国では自動運転規制の強化とデータ統制、欧州では安全性評価を巡る情報非開示が、FSD拡大の主な障害になっている。
中国では、Teslaがより高度な自動運転機能の承認を得るのは容易ではないとの見方が出ている。中国は米国と同様、コネクテッドカーや自動運転車が収集する車両データや走行データの管理に厳格な姿勢を取っている。
Teslaは米企業だが、売上高の相当部分を中国市場に依存している。イーロン・マスクCEOもこれまで、中国政府や中国の消費者に対して友好的な発言を重ねてきた。
それでもTeslaには、中国で収集したデータを国外、事実上は米国へ持ち出せないという制約がある。
現地アナリストの間では、北京がTeslaの高度な自動運転機能を近く承認する可能性は低いとの見方が広がっている。Teslaは最近、中国でFSDの試験要員の採用を進めたが、データ規制が引き続き最大の障害になるとの指摘もある。
この問題を巡っては、当局対応やロビー活動が当面続く可能性がある。
中国政府は最近、自動運転システムに関する強制基準の概要を初めて公表した。適用開始は2027年7月1日の予定で、米国や国連レベルの既存の枠組みより厳しい内容だと評価されている。
Teslaにとっては、中国市場での事業拡大を進めても、規制対応にはなお追加の時間を要する可能性があることを意味する。
一方、欧州では承認手続きそのものよりも、審査情報が開示されていない点が大きな争点になっている。一部の欧州諸国では、認められた範囲内でFSDの導入が進んでいるものの、EU全体での承認可否はまだ確定していない。
欧州の規制当局は早ければ10月にも、EU全体での承認可否を判断する可能性がある。
焦点となっているのは、審査を主導したオランダの規制当局が、FSDの安全性評価の内容を開示していない点だ。オランダ道路交通局(RDW)は、その理由として営業秘密の保護を挙げている。
公開された電子メールによると、Teslaは2024年以降、RDWに対し、安全性の検討資料を恒久的に非公開とするよう求めていた。
実際のやり取りでは、Tesla側の関係者が、特定の文書について一般には一切公開されないとの確認が得られるまで、これ以上手続きを進められないと伝えていた。ドイツ、ノルウェー、デンマークなど他の欧州各国の規制当局も関連資料の公開を拒んでいるとされ、非公開を前提とした合意が成立したとみられる。
欧州では反対論も明確だ。フランスはFSDを承認しない姿勢を示している。
理由としては、速度超過の懸念に加え、運転者が継続的に注意を払っていることを十分に担保できる水準に技術が達していない点を挙げた。
EUは10月6日、FSDの域内利用の承認可否を採決に付す予定だ。