ビットコイン 写真=Shutterstock

ビットコインは、米国の7月消費者物価指数(CPI)の発表を通過しても上値の重い展開が続き、6万3500ドル近辺まで下落した。市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が9月会合で政策金利を据え置くとの見方が強まっているが、相場は素直に反応しておらず、目先は6万3000ドルのサポートを維持できるかが焦点となっている。

Cointelegraphによると、12日(現地時間)のBTC/USDはTradingViewベースで、米株市場の寄り付き前後に軟化し、日中の上昇分を打ち消した。米7月CPIは前月比0.1%上昇、前年同月比3.4%上昇と、いずれも市場予想に一致した。

米労働統計局(BLS)は、7月の住居費指数が前月比0.1%上昇し、月間の物価上昇分のおよそ3分の2を占めたと発表した。食品価格も0.1%上昇した一方、エネルギー指数は1.5%低下した。

今回のCPIは、6月のような予想下振れのサプライズとはならなかったものの、リスク資産全体に新たな変動をもたらす内容でもなかった。米株市場はおおむね落ち着いた値動きとなり、安全資産とされる金も、前日に9週間ぶりの高値を付けた後は安定して推移した。

市場の関心は、物価指標そのものよりもFRBの次の一手に移っている。Sygnum Bankの最高投資責任者(CIO)、ファビアン・ドリ氏は、雇用市場の減速とあわせてみると、今回のCPIは追加利上げの必要性を後退させる可能性があるとの見方を示した。

ドリ氏は「予想通りのCPIは、先週確認された雇用の2万3000人減少に続き、景気後退懸念やタカ派的な見直しを強めることなく、景気が段階的に減速していることを示している」と指摘。「9月の金利見通しはおおむね安定して維持されるだろう」と述べた。

実際、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループのFedWatchツールでは、FRBが9月会合で政策金利を現行の3.50〜3.75%に据え置く確率は60%と算出された。1カ月前の30%から大きく上昇している。

利上げ見送り、すなわち据え置き観測の強まりは、暗号資産を含むリスク資産の流動性環境にとって追い風となり得る。ただ、現時点のビットコイン相場は、その期待を十分に織り込めていない。

次の注目材料は、14日に公表される7月の生産者物価指数(PPI)だ。6月のPPIはCPIと同様、市場予想を下回っていた。

DWF Labsのマネージングパートナー、アンドレイ・グラチェフ氏は「CPIだけでは雇用指標の弱さを打ち消せない」と指摘した。さらに「ビットコインのオプション市場では、依然として下値ヘッジ需要がプレミアムを伴っている」と述べた。

テクニカル面では、6万3000ドルのサポートの弱体化を指摘する声も出ている。トレーダーのレクト・キャピタルは、6万3000ドル近辺からの反発のたびに上昇の勢いが鈍っているとし、反発率が6.27%、5.83%、3.18%、足元では1.15%へと縮小していると説明した。

上値の重さも引き続き意識されている。Bitfinexのリサーチ部門Bitfinex Alphaは、ビットコインが6万5000〜6万5500ドルのレンジで繰り返し上値を抑えられていると分析した。

この価格帯では、8月5日から10日まで6営業日連続で取引時間中に6万5000ドルを上回ったものの、7月26日以降は終値ベースで一度も突破できていないという。

今回の物価指標は、FRBの9月据え置き観測を強める材料となったが、ビットコインの即時的な上昇にはつながらなかった。短期的には、6万3000ドルのサポートが持ちこたえるかに加え、PPIがオプション市場の下値警戒を和らげるかが次の焦点となりそうだ。

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