画像=ChatGPT

AI導入の成否は、もはや技術選定だけでは決まらない。生成AIの活用が広がるなか、成果を左右するのは経営陣のリーダーシップだと、米TechRadarが現地時間11日に報じた。企業は生産性向上やコスト削減の可能性を見込んで導入を急ぐ一方、従業員の抵抗、AIの挙動の不確実性、想定以上の利用コスト、信頼を巡る問題にも直面している。

AI導入が実際の成果に結び付くかどうかは、技術そのものよりも、それをどう主導し、組織に定着させるかに左右されるという。

PricewaterhouseCoopers(PwC)が公表した最新の英国CEO調査によると、回答者の98%は、今年中に事業またはオペレーティングモデルに大きな変化が起きると見込んでいる。93%は生成AIを何らかの形で導入していると答えた。一方、過去1年間で生成AIが収益性の改善につながったと回答した英国企業のリーダーは14%にとどまった。AI導入と事業成果の間には、なお大きな隔たりがある。

TechRadarは、多くの企業がAIの実証実験や初期導入は比較的スムーズに進めてきた一方、本当の難しさはその先にあると指摘する。パイロットプロジェクトは対象範囲が限られ、リスクも低く、意欲の高いチームに支えられるため、成功しやすいからだ。

ただし、AIが実際の業務フローや意思決定、顧客体験、従業員の役割にまで影響を及ぼし始めると、全社的な調整が欠かせなくなる。この段階ではIT部門だけでは対応しきれず、経営陣が優先順位を定めたうえで、業務再設計や教育、人材マネジメントを主導する必要がある。

既存の業務プロセスにAIを上乗せするだけでは、本格的な転換にはつながりにくい。例えば、営業チームがAIで通話内容を要約するのは分かりやすい効果だが、重要なのは生まれた時間を何に振り向けるかだ。フォローアップの質を高めるのか、顧客関係を強化するのか、蓄積した情報をどう知見に変えていくのかが問われる。

AIは、技術が企業の価値創出の仕組みと結び付いて初めて、変革の手段として機能するという。

信頼の確保も、AI転換を進めるうえでの重要な経営課題として浮上している。Pipedriveの調査では、55%がAIを完全には信頼していないと答えた。顧客と従業員には、AIがどこで、なぜ使われているのか、どの判断に人の関与がなお必要なのかを理解してもらう必要がある。

AIが作成した顧客向けコミュニケーションでは、適切な監督が不可欠だ。不正確な内容や、人間味に欠けると受け取られる対応は、かえって信頼を損なうおそれがある。

社内でも、従業員がAIを雇用を脅かす存在ではなく、業務を支援するツールとして受け止められるようにする必要がある。そのためには、明確なガイドラインと教育が欠かせない。透明性や判断力、一貫したコミュニケーションを欠けば、AI転換は生産性向上どころか、組織内の不信を広げるリスクがある。

TechRadarは、AI時代に成果を上げるのは、単に導入量が多い企業ではないと結論付けた。技術で変えるべき業務と、人の判断を残すべき領域を見極め、信頼を積み上げながら継続的な変化を主導できる企業こそが、競争力を高めるとしている。

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