ビットコインが株式市場、特にAI関連株との値動きの連動を弱めつつあるとの見方が強まっている。BlackRockでデジタル資産部門を統括するロバート・ミッチニック氏は、AI関連株が急落した局面でもビットコインは底堅く推移したとし、株式との相関低下が進んでいるとの認識を示した。米国のビットコイン現物ETFへの資金流入も、その動きを裏付けている。
ブロックチェーン関連メディアのCoinPostによると、ミッチニック氏は11日、Bloombergの番組に出演し、この1カ月でビットコインを巡る投資家心理が目立たないものの着実に変化していると述べた。
同氏は、株式との相関低下は突発的な現象ではないと説明した。年初にはAI関連株が堅調に推移する一方、ビットコインは横ばい圏から軟調な値動きが続き、この乖離はビットコインにとって逆風だったという。だが7月に入って流れは変わった。AI関連株が急落した局面でも、ビットコインは比較的しっかりした値動きを維持し、同氏は「相関の解消は健全だ」と語った。
BlackRockはその背景として、ビットコインの位置付けの変化に注目している。投資家がビットコインを単なるリスク資産ではなく、分散投資の一手段として捉え始めているためだ。ポートフォリオ内の他資産が抱えるテールリスクに備える資産としての認識も広がっており、値上がり期待そのものより、資産配分の手段としての性格が強まっているという。
資金フローもこうした変化を映している。米国のビットコイン現物ETFには直近5営業日で計8億5350万ドルが流入し、4月中旬以降で最大規模の流入額となった。このうちBlackRockのiShares Bitcoin Trust(IBIT)には6億9370万ドルが流入し、全体の8割超を占めた。FidelityのFBTCへの流入額は1億1640万ドルだった。
市場では、最近起きたハッキング事件が資金シフトの一因になったとの見方も出ている。コールドストレージを狙った攻撃で1億ドル超が流出したとされ、自己保管していた投資家の一部が証券口座を通じたETFへ資金を移しているとの観測が浮上した。自己保管に伴うリスクを避けたい需要が、ETFへの資金流入につながる可能性がある。
ETF投資家の中心は長期保有層だという。ミッチニック氏は「一貫して、ファンダメンタルズに基づく長期保有型の投資家が中心だ」と述べた。ビットコインはこれまで5回の強気・弱気サイクルを経験してきたが、そのたびに過去最高値を上回ってきたとも指摘した。
こうした動きは、ビットコイン市場を捉える視点が、株式との単純な連動から資産配分や需給構造へ移りつつあることを示している。ETF経由の資金流入が続くなか、ビットコインがリスク資産とは異なる値動きを維持できるかが次の焦点となる。