約3週間で6494BTCを集めたビットコインアドレスから、Binance関連とされるアドレスにつながる資金移動が確認された。移動額は約4億2300万ドル(約634億5000万円)相当に上り、市場では大規模な売却につながる可能性への警戒が広がっている。ただし、オンチェーン情報だけでは、実際に取引所へ売却目的で入金されたのか、取引所側の内部的な資金移管なのかは判別できない。
CryptoSlateが8月10日付で報じたところによると、当該アドレスは7月19日から8月8日にかけて、45回の入金で6494.34685667BTCを受け取った。その後、70件の取引を経て保有分をすべて移動し、集計時点の残高は0BTCとなった。
25件の出金取引のうち23件では、資金の一部が「bc1qm34lsc65zpw79lxes69zkqmk6ee3ewf0j77s3h」に送られていた。この一連の流れで、当該アドレスから取引に投入されたビットコインは計6494.33835675BTCに達した。
もっとも、この数値が最終的な送金先アドレスに積み上がったビットコイン量をそのまま示すわけではない。取引の一部では、別アドレス由来のビットコインもあわせて処理されていたためだ。
最後の入金は8月8日だった。当該アドレスは同日、1000.00882659BTCを受け取った後、約2時間30分後に同じ送金先につながる後続取引で当該資金を再び動かしていた。
市場の関心は、今回の移動が実際の売却を目的とした取引所送金なのかどうかに集まっている。オンチェーン分析企業Lookonchainは日曜未明、このアドレスを公開し、所有者を「正体不明のクジラ」と指摘するとともに、マイナーである可能性にも触れた。
一方、ブロックチェーン上の記録だけで、このアドレスが単一の個人または機関に属するかを断定するのは難しい。
また、送金先アドレスがBinance関連だったとしても、今回の移動が直ちに売却注文に結び付いたとまでは言えない。顧客が取引所にビットコインを入金したケースなのか、Binanceがウォレット管理の一環として資金を再配置したのかは、オンチェーン情報だけでは見分けにくいためだ。
当該アドレスとBinanceの関連は、過去の公開資料でも確認されている。Binanceが2022年に公表した準備金証明資料では、このアドレスは当時、取引所が管理していたビットコインアドレスの一つとして示されていた。
その後、米連邦裁判所の記録でも、このアドレスはビットコインネットワーク上のBinanceアドレスとして言及された。
ただし、過去の帰属情報が現在も同じ管理関係にあることを意味するわけではない。このため、今回の動きを「Binanceに6494BTCが入金された」と断定するより、Binance関連の可能性があるアドレスを含む取引とみる方が適切だ。
取引パターンだけを見れば、取引所が顧客から受け取ったビットコインを集約ウォレットにまとめる動きとも似ている。外部のクジラによる売却準備と、取引所内部のウォレット再編は、オンチェーン上では似た形で表れることがある。
このため、今回の資金移動だけで実際の売り圧力が発生したと判断するのは早計だとの見方も出ている。取引所関連アドレスへビットコインが動いた事実は、潜在的な売却可能性を示すシグナルではあるが、実際に市場へ売りが出たかどうかは別途確認が必要になる。
分析時点で、ビットコインは6万5178ドル(約977万6700円)近辺で推移していた。今後は、当該アドレスから同様の経路で追加の資金移動が起きるかに加え、Binanceなど主要取引所のビットコイン保有量や現物取引高の変化が焦点となりそうだ。
こうした指標が同時に動けば、今回の6494BTCの移動が実際の売却準備だったのか、それとも取引所内部の資金再配置にとどまったのかを、より明確に見極められる可能性がある。