ビットコインのイメージ写真=Shutterstock

12年以上動きのなかったビットコイン26.96BTCが、新たな個人ウォレットに移された。規模は約176万ドル(約2億6400万円)。送金先は取引所ではなく、その後の追加移動も確認されていないことから、市場では直ちに売却に結び付く可能性は低いとの見方が出ている。

U.Todayによると、このビットコインは2014年1月以降、一度も動きがなかったが、10日(現地時間)に新しいアドレスへ全量が送金された。

オンチェーンデータでは、同日のブロック#961845で取引が確認された。従来の保管先は「1」で始まるレガシー形式のアドレスで、資金は「3」で始まるネステッドSegWit(P2SH)アドレスへ移された。移転後、新たな送金は確認されていない。

市場の関心を集めているのは、評価益の大きさだ。当該ビットコインは2014年1月時点で、1BTC当たり約803ドルで取得されたとみられる。この前提では、26.96BTCの取得額は約2万2000ドルだったが、今回の移転時点の価値は約176万ドルに達した。未実現利益は約173万ドルで、含み益率は約7975%となる。

送金手数料はごく小さい。ネットワーク手数料は0.00000176BTCで、当時の価格換算では約0.11ドル(約17円)だった。約176万ドル相当のビットコインを、1ドル未満のコストで移した計算になる。

今回の動きについては、売却ではなく保管先の見直しとの見方もある。アドレス形式からみて、初期のビットコイン環境で使われたレガシーウォレットから、より新しい形式へ移した可能性があるためだ。ネステッドSegWitはデータ効率の改善により、将来の送金手数料を20~40%抑えやすい方式とされる。

こうした動きは、足元のウォレットセキュリティ不安とも時期が重なった。ハッカーがColdcardのハードウェアウォレットの脆弱性を悪用し、1160万ドル超(約17億4000万円)の資産が流出したとされる事案が報じられ、長期保有者の資産管理への警戒感が強まっている。市場不安が高まる中、一部では保有資産を移す動きもみられ、現物ETFには直近4取引日で8000万ドル(約120億円)が流入した。

今回の送金も、こうした警戒感の高まりを映した動きとして受け止められている。12年以上休眠していた資金が、セキュリティ懸念が意識される局面で新たな保管先へ移ったためだ。ただ、資金は取引所ではなく個人ウォレットに送られており、その後の追加移動もない。このため、当面の売り圧力につながる可能性は限定的とみられる。

市場では今後も、今回のアドレスのような長期休眠ウォレットの動向に注目が集まりそうだ。こうした資金が将来、取引所などに移れば、ビットコイン相場に局地的な影響を与える可能性がある。今回の事例は、長期保有するクジラの移動が必ずしも売却を意味しない一方で、セキュリティ不安と重なる局面では市場の感応度を高めやすいことを示している。

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