韓国のOTT各社が、スポーツ配信をテコに収益化を加速させている。主要試合の開催日には視聴者数が大きく伸びており、Coupang Playは有料スポーツパスを導入した。TVINGもKBOリーグ中継を追い風に、売上拡大と収益改善を進めている。
モバイルインデックスによると、主要スポーツの試合日には、中継を担うOTTの1日当たりアクティブユーザー数(DAU)が大幅に増加した。
Coupang Playが8月5日に独占中継した「2026 Coupang Playシリーズ」のチームKリーグ対マンチェスター・シティ戦では、同日のDAUが102万315人となった。前日の89万8912人から13.5%増え、試合前1週間の平均84万8929人と比べても20.2%上回った。
一方、同日のTVINGのDAUは前日比18.6%減となり、NetflixとWavveもそれぞれ1.4%、3.0%減少した。Coupang Playが主催・主管・中継を手がけるサッカーイベントが、利用者の流入を押し上げた格好だ。
2月21日に開催された「Coupang Play Kリーグスーパーカップ2026」でも同様の傾向がみられた。全北現代と大田ハナシチズンが対戦した同試合では、Coupang PlayのDAUが94万2044人となり、前日の85万5015人から10.2%増加。試合前1週間の平均比でも4.1%増えた。Coupang Playはこの試合も独占中継している。
プロ野球を前面に打ち出すTVINGでは、シーズン開幕時の伸びが際立った。2026年KBOリーグが開幕した3月28日のDAUは203万2909人で、前日の137万1942人から48.2%急増した。試合前1週間の平均157万7330人と比べても28.9%多く、翌29日も196万8540人と高水準を維持した。
週末の2日間にプロ野球10球団の試合が集中したことで、視聴者の滞在時間や利用頻度の押し上げにつながったとみられる。
スポーツ配信がOTTの有力な集客手段として定着するなか、各社はトラフィック拡大にとどまらず、収益化策も本格化させている。
Coupang Playは、スポーツコンテンツを追加課金型の商品として切り出し、直接的なマネタイズに乗り出した。「Coupang Playスポーツパス」の料金は、一般会員が月額1万6600ウォン(約1826円)、Wow会員が月額9900ウォン(約1089円)。
プレミアリーグやNBAなどの主要コンテンツを有料商品として組成し、「Coupang Playシリーズ」とも連動させている。
今季のチームKリーグ対マンチェスター・シティ、マンチェスター・シティ対アトレティコ・マドリードの試合では、スポーツパス加入者に先行予約の機会を提供した。スポーツファンを有料会員化し、オフラインイベントにも接続する施策といえる。
業界関係者は「質の高いコンテンツには対価を払うという購読傾向が定着するなか、実際の視聴体験として現れるサービス品質が、視聴者の定着を左右する重要な要素になる」と指摘した。
TVINGはKBO中継を、長期利用者の確保とサブスクリプション・広告収入の拡大に活用している。CJ ENMは2024年、KBOと2024〜2026年の有線・無線の放映権契約を3年総額1350億ウォン(約148億5000万円)で締結した。年平均では450億ウォン(約49億5000万円)で、当時の韓国プロスポーツの有線・無線中継権としては最大規模だったという。
こうした大型投資の効果は業績にも表れ始めた。TVINGの2026年第2四半期売上高は1407億ウォン(約154億7700万円)と前年同期比40%増加し、営業利益は60億ウォン(約6億6000万円)と黒字転換した。
CJ ENMは第2四半期の業績改善要因として、KBOシーズンの効果を挙げた。KBOとオリジナルコンテンツのヒットにより、加入者純増と月間アクティブユーザー数(MAU)の拡大が進み、広告売上と購読売上がともに成長したと説明している。
CJ ENMの最高財務責任者(CFO)、チャン・ヒョンギョン氏は第2四半期決算説明会のカンファレンスコールで、「KBOシーズンの成果とオリジナルタイトルのヒットにより、加入者純増とMAUの増加が進み、広告売上と購読売上が高成長した」と述べた。
その上で、「長期的には購読売上と広告売上の規模が拡大し、収益性の改善基調が続いている」との見方を示した。
下半期もスポーツを広告収入拡大の手段として活用する計画だ。CJ ENMは、第3四半期については広告需要の閑散期やコンテンツ調達費用の増加でTVINGの業績が第2四半期よりやや鈍化すると見込む一方、第4四半期はKBOポストシーズンと広告繁忙期を生かし、広告売上の最大化を図る方針を示した。