ドナルド・トランプ米大統領とビットコイン(写真=Shutterstock)

米暗号資産規制の中核法案とされる「クラリティ法案」の採決が、議会休会に伴い9月に持ち越された。上院では法案の適用範囲や利益相反、倫理条項を巡る与野党対立が続いており、審議の行方に市場の関心が集まっている。

Bitcoin Magazineが8月7日(現地時間)に報じたところによると、同法案は昨年に下院を通過し、米国のデジタル資産規制の枠組みを整備する重要法案として扱われてきた。ただ、上院では民主・共和両党が法案の内容や審議の進め方を巡って対立し、採決日程はずれ込んだ。

ジョン・スーン共和党上院院内総務は、民主党がクラリティ法案の採決に応じなかったと説明したうえで、9月の議会再開後に最優先で上程する考えを記者団に示した。

上院審議の主な争点は、法案の適用範囲と利益相反の扱いだ。一部の共和党議員は、民主党が審議を意図的に遅らせていると主張している。

これに対し民主党は、法案に盛り込む倫理条項をさらに強化すべきだとの立場を取ってきた。7月に回覧された最新草案には、公職者が暗号資産を宣伝したり、暗号資産を通じて利益を得たりすることを禁じる文言が盛り込まれた。この条項は、民主・共和両党が共同で作成した内容だと伝えられている。

法案審議は2026年を通じて停滞が続いてきた。銀行業界のロビー団体と暗号資産取引所がステーブルコイン収益を巡って対立したほか、民主党は倫理基準の追加修正を要求。こうした経緯から、法案は市場規制の枠を超え、ワシントン政界の主要争点の一つとなっている。

ドナルド・トランプ米大統領も、法案成立の必要性を直接訴えた。Punchbowl Newsのインタビューで、民主党は法案自体は望みながら、自身にだけ別の基準を適用しようとしていると主張し、「彼らは法案を望んでいるが、その法案で私だけを他の人とは違う扱いにしようとしている」と述べた。

さらにトランプ氏は、暗号資産と人工知能(AI)の分野で米国が中国に対して優位を確保する必要があると強調した。法案については「米国は暗号資産とAIで中国より主導権を握らなければならない」との趣旨を示し、「人々がビットコインで支払うのを目にしている。もはや現金の時代ではないのかもしれない」とも語った。

一方で、利益相反を巡る論争はなお続いている。ワシントンの一部では、トランプ一族が大統領ミームコイン「$TRUMP」やWorld Liberty Financial(WLFI)などのデジタル資産事業を通じて利益を得ているとして批判が出ている。これに対し、ホワイトハウスとトランプ氏側は、利益相反には当たらないとの立場を維持している。エリザベス・ウォーレン上院議員ら民主党関係者は、新たな立法が大統領とその家族の利益につながり得ると反発している。

市場関係者に加え、Goldman SachsやFidelityなどの主要金融機関、法執行分野の団体も同法案を支持している。9月の議会再開後は、採決日程だけでなく、倫理条項やステーブルコインを巡る利害調整が法案処理の大きな焦点となりそうだ。

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