中国ロボット企業のUnitreeは、米連邦通信委員会(FCC)が対中技術規制を強化した後も、主力ロボット6機種の米国販売を継続できる見通しだ。対象製品が規制施行前に機器認証を取得していたためで、当面は既存製品の販売を維持する。一方、今後投入する新製品については、例外措置や条件付き承認が必要になる可能性がある。
7日付のCryptopolitanによると、UnitreeはFCCの新規則施行前に、主力のヒューマノイドロボットと四足歩行ロボットで機器認証を取得していた。
同社の取締役会秘書、プー・ポンホア氏は、上海証券取引所への上場準備の一環として開いたオンライン投資家説明会で、ヒューマノイドロボットのG1、H2、R1と、四足歩行ロボットのGo2、B2、A2が、いずれも規制発効前にFCCの機器認証を取得済みだと説明した。
FCCが新たに規制対象に加えたのは、移動機能と通信機能を備える2kg超のロボットや、自前のセンサーと一定水準の自律性を持つ機器など。Unitreeの主力ヒューマノイド製品も該当する可能性があるが、認証済みの製品は当面、米国で販売を続けられるとしている。
今回の規制強化は、FCCが国家安全保障上の理由から運用してきた「Covered List」の拡大に伴うもの。FCCは海外製の先端ロボット機器や、太陽光発電設備で使われる電力インバーターを対象に加えた。新規則の対象となる新製品は、米国市場への参入が制限される可能性がある。
Unitreeは最近公表した上場目論見書でも、主力製品は今回の規制の直接的な影響を受けないと強調した。上海スター市場への上場を前に、米国販売を巡る規制リスクが一定程度抑えられていることを投資家に訴えた格好だ。
同社は3月、約6億1000万ドル規模の新規株式公開(IPO)を申請した。その後、8月5日に予備的な価格協議を行い、8月10日から申込受付に入る予定としていた。当初は約42億人民元を調達し、ロボットの研究開発、ハードウェア開発、新たな生産拠点の整備などに充てる計画だったが、投資需要が想定を上回ったことで、公募規模は約61億人民元、8億9840万ドル水準まで拡大した。
もっとも、今回の認証取得で米国事業を巡る規制上の不確実性が完全になくなったわけではない。規制の基準時点以降に開発された新製品については、米国市場への投入が制限される可能性があると同社は説明している。新モデルを米国で販売するには、具体的な例外措置や条件付き承認が必要になる公算が大きい。最近の規則を満たさないモデルは、米国防総省の条件付き承認がある場合に限り搬入できる見通しだという。
海外市場はUnitreeの業績面でも重要だ。同社によると、直近3つの報告期間では海外売上高が総売上高の40%超を占めた。一方で、米国売上高への依存度は低下傾向にある。直近の報告期間における米国売上高比率は13.30%で、それ以前の18.39%、19.54%から下がった。Unitreeは2025年のヒューマノイドロボット出荷台数で世界首位だったとも主張している。
米国の対中技術規制はロボット分野にとどまらず、他の先端技術にも広がっている。FCCは中国製光トランシーバーの米国データセンター向け供給を制限する案も検討しており、米当局は中国が海外経由でNVIDIAのAIチップにアクセスしたかどうかも調べている。
これに対し、中国政府は反発を強めている。中国商務部は、FCCの規制は中立的な表現を用いているものの、実態としては中国企業を差別する措置だと主張し、撤回を求めた。米国が措置を強行する場合には、対抗措置を取る可能性もあると警告している。
Unitreeは当面、既存製品の米国販売ルートを維持できる見込みだが、新製品の投入では新たな規制対応を迫られる可能性が高い。米国市場向け事業は、既存製品と新製品で異なる規制環境に置かれる局面に入ったといえそうだ。