暗号資産を巡る規制論争では、利用者層の実態と政治的なイメージの隔たりも論点になっている。写真=Shutterstock

Rippleの最高法務責任者(CLO)であるスチュアート・アルデロティ氏が、暗号資産の支持層を「Crypto Bros」と表現した米紙Wall Street Journal(WSJ)の社説に反論した。米国の暗号資産保有者は若い男性に限られず、すでに数千万人規模に広がっていると訴えている。

ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、アルデロティ氏は7日、米上院で議論が進むデジタル資産の市場構造法案「Clarity法案」を批判したWSJ社説を念頭に、暗号資産利用者を巡る固定観念は実態に合わないと指摘した。

同氏は、米国で暗号資産を保有する人は約6700万人に上ると説明した。利用者を特定の単一集団として一括りにすれば、実際の保有者像を見誤る恐れがあるとの見方だ。

保有者の約3分の1は女性だという。年齢構成についても、55歳以上の保有者は25歳未満を上回るとし、暗号資産は若い男性が中心だという見方を否定した。

アルデロティ氏は暗号資産保有者について、「教師、建設労働者、退役軍人、看護師、親、小規模事業者」などを挙げた。暗号資産が一部の技術コミュニティやサブカルチャーにとどまらず、米社会の幅広い層に浸透していることを強調した格好だ。

発端となったのは、WSJのオピニオン面に掲載されたClarity法案に関する社説だ。同社説は、法案が暗号資産業界が求めてきた規制の明確化につながる可能性を認める一方、成立前に一部条項の修正が必要だと主張した。

とりわけ、暗号資産取引所がステーブルコイン関連の報酬を提供できる余地を残している点を問題視した。こうした仕組みが実質的な利払いにつながりかねないとの懸念を示したほか、一部の分散型ネットワークに適用される例外規定についても問題があり得ると指摘した。

この社説には、暗号資産業界からも反発が出ている。Blockchain Associationの最高経営責任者(CEO)であるジ・キム氏は、事実関係や法的観点で不正確な内容が含まれていると批判した。

論争は法案の条文解釈にとどまらず、暗号資産産業を社会がどう捉えるかという認識の問題にも広がっている。業界側が利用者基盤の広がりを訴える一方で、政治圏には依然として否定的な見方が根強い。

実際、民主党支持層の間では暗号資産業界への拒否感の強さも浮き彫りになっている。民主党系の世論調査会社ノミントン・ペッツが実施し、Semaforが入手した調査によると、民主党予備選の有権者の84%が、暗号資産業界の支援を受ける候補者に否定的な見方を示した。

同調査では、暗号資産産業は石油企業やウォール街の銀行、データセンターよりも、民主党の中核支持層から厳しく評価された。保有者数の増加と、政治・社会的な受容の広がりが必ずしも一致しない実態を示した形だ。

米国の暗号資産規制を巡る議論では、Clarity法案の具体的な中身だけでなく、暗号資産業界をどのような集団として位置付けるかも論点となりそうだ。業界が訴える幅広い利用者基盤と、政治圏に残る否定的なイメージの隔たりをどこまで埋められるかが、今後の焦点になる可能性がある。

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