2027年度予算案では、AI計算基盤の整備と公共・産業分野でのAI活用拡大を重点施策に据えた(写真=Shutterstock)

台湾政府は、2027年度の科技予算を過去最大規模に拡大し、AIと半導体の競争力強化を加速する。ソブリンAIの計算基盤整備を中核に据え、世界的なAI開発競争や地政学リスクをにらんだ投資を積み増す。

台湾行政院が示した2027年度予算案によると、国防分野を除く科技予算は1823億台湾ドルとなる。前年の約1665億台湾ドルから158億台湾ドル増え、伸び率は9.47%で、過去最大を更新した。

増額の中心となるのは、AIと先端計算インフラへの投資だ。台湾政府は、AI開発競争の激化を受けて国内のAI計算資源を確保し、産業全体のデジタル転換を後押しするため、「スマート国家2.0」を本格的に進める。

対象は行政分野にとどまらない。製造業やサービス業、日常生活に関わる分野までAI活用を広げる方針で、中小・零細企業のAI導入支援も強化する。

国家科学技術委員会は、2027年度科技予算の重点課題として「スマート国家2.0の構築」を掲げた。新規投資で最も大きい分野は、ソブリンAIの計算資源確保とAI基盤の整備としている。

台湾は、国内のAI計算資源を確保するとともに、半導体とAIハードウェア分野での強みを生かし、産業競争力の底上げを図る考えだ。

ウー・チョンユエン行政院政務委員兼国家科学技術委員会主任委員は、「台湾はすでに半導体とAIハードウェア産業で競争力を備えているが、国際競争は一段と激しくなっている」と述べた。その上で、「半導体とAI分野の優位を維持しながら、科学技術を基盤に産業構造の高度化とイノベーションを進める必要がある」と強調した。

2027年に始動するスマート国家2.0は、中央政府と地方政府が連携して進める国家プロジェクトと位置付けられる。AIを行政と産業の現場に導入し、行政効率の向上と企業のデジタル転換を同時に促す狙いがある。

長期的には、国民生活全般にAIサービスを広げるスマート社会の構築も進める。

AIに加え、次世代の戦略技術への投資も大幅に増やす。政府が進める「AI新10大建設」では、高性能コンピューティング、量子技術、スマートロボット、シリコンフォトニクス、光通信、ソブリンAIなどを中核分野に位置付けた。

こうした投資は、次世代技術産業を先取りする狙いがあるとしている。

半導体分野への重点投資も続ける。台湾最大の技術プロジェクト「Jingchuang Taiwan」には、2027年度に207億台湾ドルを配分した。

先端プロセス、先端パッケージング、半導体材料・装置、応用技術のイノベーションを支援し、世界市場での半導体競争力を維持する計画だ。

このほか、ネットゼロ技術には108億台湾ドルを投じ、カーボンニュートラル技術と実証環境の整備を後押しする。南部地域のAI・半導体産業育成策「大南方新シリコンバレー」には84億台湾ドルを計上した。

宇宙・通信分野への投資も拡大する。「宇宙計画第3期」には69億台湾ドルを配分し、低軌道衛星と遠隔探査衛星の開発を支援する。

次世代通信技術には44億台湾ドルを投じ、6Gと低軌道衛星通信技術の確保を進める予定だ。スマートロボット、海洋技術、高齢者向け技術も主要な投資対象に含めた。

国家科学技術委員会は、大型国家プロジェクトに加え、基礎科学研究への支援も継続して拡大するとしている。大規模政策に予算が集中するなかでも、長期的な研究開発力の維持が重要だと判断した。

今回の予算案は、半導体を軸としてきた従来戦略に加え、AI計算基盤の整備と公共・産業分野でのAI活用拡大を同時に進める姿勢を鮮明にした。AIと半導体を国家競争力の中核に据え、世界的な技術覇権競争に対応する台湾の戦略が、2027年度予算に色濃く反映された格好だ。

キーワード

#台湾 #AI #ソブリンAI #半導体 #高性能コンピューティング #量子技術 #6G #低軌道衛星
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.