日本は、中国企業に偏るドローン供給網への依存を減らすため、国内生産体制の整備を急いでいる。民間企業の防衛分野参入や政府予算の拡大を通じ、無人システムの競争力と調達の安定性を高める狙いだ。
TechRadarによると、タカイチ・サナエ氏は5日、国内のドローン生産拡大を後押しし、中国企業に集中する供給網の見直しを進める考えを示した。
産業用ドローンの世界市場では、中国企業が約9割を占める。日本政府はこうした構造を安全保障上のリスクとみて、国内の生産基盤確保に乗り出している。
自民党は6月9日、2030年までに年間約8万機のドローン生産能力を整備する計画を了承した。一方で、大量生産を支える具体的な財源の道筋はなお明確になっていない。
国内ドローン業界では、Eams RoboticsやTerra Droneが防衛分野での展開を進める企業として注目されている。Eams Roboticsは2016年に放送撮影向けドローン企業として発足し、2018年から製造事業にも領域を広げた。
同社はSagawa Express、東京大学、NTTドコモなどと自律飛行システムを開発してきた。2025年12月には、地上監視要員を置かず、鉄道区間を完全自律飛行で通過する実証試験も実施した。
足元では、米防衛スタートアップのAnduril Industriesとの協業観測も浮上している。
Terra Droneは、電池と防衛用ドローンの供給網強化に力を入れている。ドローンの製造コストに占める電池の比率は25%超とされるが、日本国内では防衛用途の要件を満たす電池サプライヤーが不足しているという。
Terra Droneは日本製電池の量産化を進めており、トクシゲ・トオルCEOは、防衛省が同社事業に強い関心を示していると明らかにした。ウクライナでの戦争を通じてドローンの重要性が高まり、日本でも無人システム需要が拡大していると説明している。
政府の投資も膨らんでいる。日本の無人防衛システム関連予算は今年、2770億円に増加した。2025年の1110億円から2倍超の伸びとなる。
防衛費全体も国内総生産(GDP)の3.5%水準まで拡大する方針で、ドローンを含む無人戦力への投資がさらに増える可能性がある。
防衛省傘下の防衛装備庁は来月、レーダー基地や主要施設の周辺に配備する迎撃ドローンのデモンストレーションを実施する予定だ。長距離の自爆型ドローンに対処する能力の確保を目指す。
中東紛争で使用されたイラン製のシャヘド136のような長距離自爆型ドローンの脅威が高まるなか、日本は既存のミサイル防衛だけでは対処が難しい新たな脅威への備えを進めている。
ドローン増産は、日本の防衛産業の自立戦略とも結び付く。米国の対イラン作戦を受け、ミサイル在庫の不足懸念から、日本向けトマホークの引き渡しが遅れる可能性があるとの見方も出ている。こうした状況を背景に、日本では防衛生産基盤の強化が一段と重視されている。
日米当局は供給支障の可能性を否定したが、日本の防衛相は国産ミサイル開発を継続して進める考えを示した。ドローンやミサイルなど主要兵器を国内で確保しようとする動きが同時に進んでいる。
生産拠点拡大を巡る観測もある。一部では、Andurilが台湾海峡の緊張激化に備え、日本の自動車工場をドローン生産施設に転用する案を検討したとの見方が出た。ただ、実際に計画が進んでいるかどうかは確認されていない。
日本のドローン拡大戦略は、2027年まで続く5カ年の軍備増強計画の一環に位置付けられる。同計画には、ミサイル網の強化や無人の地上・海上システムの開発も含まれる。
もっとも、目標とする生産量の拡大が実際の軍事力強化に直結するかはなお不透明だ。中国依存をどこまで減らし、安定した供給網と生産能力を確保できるかが、今後のドローン防衛産業の競争力を左右する焦点となる。