Circleは9月16日、独自ブロックチェーン「Arc」のメインネットを公開する。あわせて、VisaやMastercard、BlackRockなど11機関を初期バリデーターに迎える方針も明らかにした。ネットワーク手数料(ガス代)はUSDCで支払う。
同社は2026年4〜6月期決算の発表にあわせて公表した。初期バリデーターには、BlackRock、米証券決済インフラ大手DTCC、Galaxy、Global Payments、Intercontinental Exchange(ICE)、Mastercard、MoneyGram、SBIグループ、Standard Chartered、住友商事、Visaが名を連ねる。
BlackRockはトークン化マネー・マーケット・ファンド「BUIDL」をArc上で展開する予定だ。DTCCは2027年下期から、保管資産のトークン化支援に乗り出す計画としている。
Arcは現在、限定公開中のメインネット環境で稼働しており、100社超の開発者が参加している。ジェレミー・アレアCEOによると、テストネットでは約300万ウォレットを通じて5億件超の取引を処理した。
初期の分散型金融(DeFi)プロトコルとしては、Aave、Morpho、Uniswapが参加する。Binance Wallet、Kraken、Ledger、MetaMaskも接続手段を提供する。ガス代はCircleのステーブルコインUSDCで支払う仕組みだ。
Circleは同時に、2026年4〜6月期の業績も発表した。総売上高と準備金運用収益は7億100万ドルで、前年同期比7%増だった。前四半期比では小幅な増加にとどまり、2025年10〜12月期の7億7000万ドルには届かなかった。
準備金収益は6億6800万ドルで、前年同期比5%増。一方、準備金利回りは66ベーシスポイント低下し、3.5%となった。
純利益は4800万ドル。前年同期はIPO関連の株式報酬費用が重荷となり、4億8200万ドルの純損失を計上していたが、今期は黒字に転換した。調整後EBITDAは1億4300万ドルで、前年同期比8%増だった。
USDCの流通量は期末時点で733億ドルと、前年同期比19%増加した。オンチェーン取引額は14兆8000億ドルで、同151%増となった。一方で、法定通貨担保型ステーブルコイン市場におけるCircleのシェアは27%に低下した。これについてアレアCEOは、デジタル資産市場全体の地合いがなお弱いとの認識を示した。
Coinbaseとの流通契約も従来条件で更新した。これにより、Circleが今四半期に計上した4億1000万ドル規模の流通・取引関連費用の構造も維持される。
同社は先月、米通貨監督庁(OCC)から「Circle National Trust」設立の最終承認を取得した。加えて、ニューヨークの規制当局からは限定目的トラストの認可も得ている。連邦認可により、規制下でのデジタル資産カストディが可能となり、CircleがUSDC準備金を直接管理する道が開ける。アレアCEOは、こうしたインフラ整備が決済や資本市場、世界の企業によるデジタルドル活用の拡大につながると説明した。
決済事業も伸びた。Circle Payments Networkの年換算取引額は147億ドルと、前四半期比76%増加し、参加金融機関は175社となった。アレアCEOによると、この数値は7月31日時点で230億ドルまで拡大したという。
また、同社はその他売上高の見通しも引き上げた。従来の1億5000万〜1億7000万ドルから、3億1000万〜3億3000万ドルへ上方修正した。要因の一つとして、「ARK」トークンのプレセール売上の計上を挙げている。
今回の発表では、ブロックチェーン基盤の拡大、収益の改善、規制面での認可取得が同時に示された。Arcのバリデーター構成と信託銀行認可は、USDCを決済・カストディ基盤として広げるCircleの戦略を反映している。