Rippleの公式サイトを装った偽ページが出回り、XRP保有者を狙うフィッシング被害への警戒が強まっている。ユーザーにウォレット上で取引承認を行わせ、承認後に資金を流出させる手口で、Rippleの元最高技術責任者(CTO)として知られるデイビッド・シュワーツ氏も詐欺だとして注意を呼びかけた。
8月5日、ブロックチェーンメディア「U.Today」によると、シュワーツ氏はX(旧Twitter)上で当該サイトの画面を示し、「これは詐欺だ」と警告した。
問題のサイトは、Rippleの公式ページを装ったつくりになっている。濃紺を基調としたデザインやブランドフォント、ロゴ、右上の「Buy XRP」ボタンまで実在サイトに似せており、一見しただけでは判別しにくい。
一方で、掲載文言は長期保有者の期待心理をあおる内容だ。ページ上部には「一度も売らなかった人のために何かが来る」と掲げ、「何かは言えないが、忍耐への報酬」といった表現で関心を引く構成になっている。
実際には、こうした文言で希少性や緊急性を演出し、「Get Early Access」ボタンからユーザーを誘導する仕組みだった。ボタン押下後にウォレットで取引承認を求め、承認すると保有するXRPが直ちに流出するという。
今回の事例は、8月初旬にXRPLエコシステムで相次いだフィッシング攻撃の一環とみられている。攻撃者は漏えいした投資家データベースやスパムフィルターを回避する手法も用いたとされ、長期保有者の忠誠心や報酬期待を巧みに突いている点が特徴だ。
実際、1日と2日には、かつてXummの名称で知られたウォレット「Xaman」も標的となった。Xamanチームが発行したかのように装った「XMN」トークンの宣伝投稿が拡散し、同社は直ちにこれを否定した。Xamanの創業者ウィチェ・ビンド氏は、「そのトークンは存在しない。過去にもなく、今後もない」と述べた。
最近の攻撃は、ブロックチェーン自体の技術的な脆弱性を突くというより、ソーシャルエンジニアリングに依存する傾向が強い。もっともらしいデザインや「機会を逃すな」といった圧力の強いメッセージで判断を鈍らせ、最終的にユーザー自身に承認操作をさせるのが典型的な流れだ。
XRPLの取引は、一度承認すると取り消せない。フィッシングサイト上で取引に署名したり、シークレットフレーズを入力したりした場合、資金を回収できないことを意味する。シュワーツ氏が即座に警告を発した背景には、こうした事情がある。
Rippleは、「一度も売却していない人」だけを対象にした非公開の報酬プログラムや、隠れた支援基金、別枠プールを運用していない。こうした提案を掲げるページはすべて詐欺であることが、今回の事例でも改めて浮き彫りになった。XRPL利用者にとっては、公式チャネルの確認と、ウォレット承認前の内容精査が基本的な対策となる。