Metaは5日、ターミナルベースのAIコーディングエージェント「Muse Code」のベータ版を公開した。長時間の自律実行と障害復旧機能を差別化要素に据え、AIによるソフトウェア開発支援分野でOpenAIやAnthropicに対抗する構えだ。
Decryptによると、Muse Codeは最新コーディングモデル「Muse Spark 1.2」を基盤とする。Meta Model APIとインストールスクリプト経由で利用でき、大規模コードリポジトリでの変更計画の策定、コード生成、結果の検証まで、ソフトウェア開発の一連の工程に対応するよう設計した。Metaはあわせて、より大規模で高性能なモデルも準備していると明らかにした。
Metaが特に強調するのは実行アーキテクチャだ。Muse Codeは、モデル呼び出しやツール実行、ユーザー承認、コード編集履歴などをローカルのイベントログに記録する。このログを基に作業状態を管理し、システム障害が発生しても中断地点から正確に処理を再開できるようにした。
長時間の開発作業を想定した機能も備える。計画を立てる「/plan」、計画を反復的に検討する「/grill」、目標達成まで作業を継続する「/goal」といったコマンドを標準でサポートする。Metaは、大規模言語モデル(LLM)とエージェントが連携しやすいよう、Muse Spark 1.2を学習させたとしている。
一方、ベンチマークで最上位に立ったわけではない。Metaの公表資料によると、Muse Spark 1.2は主要なコーディングベンチマークでAnthropicの「Opus 5」を下回った。ただ、OpenAIのCodexやGoogleのAntigravityを上回った項目もあったという。
ターミナルベースのコーディング能力を測る「Terminal Bench 2.1」では、Muse Codeは82.9%だった。Claude Code(Opus 5ベース)は86.7%、Codexは81.8%、Grok Buildは81.6%だった。
AIエージェントのソフトウェア開発能力を評価する「DeepSWE 1.1」では、Museが59.3%、Opus 5が65.0%、Codexが64.8%だった。Metaの社内ベンチマークでも、Museは70.6%にとどまり、Opus 5の79.4%を下回った。
Metaは、単純な性能競争よりも長時間稼働時の安定性を強みに掲げる。同社によると、ツール呼び出しが1000回を超える長時間実行環境では、Muse Spark 1.2は実行条件に応じて61~69%の水準を示した。デモでは、NVIDIAのHopper GPU上で24時間にわたり1000回超のツール呼び出しを行い、GPUカーネルを反復的に最適化したという。
別のデモでは、ユーザーが自宅の室内を撮影したドローン映像を入力すると、それを解析し、予約機能を備えたWebサイトを自動生成した。Metaは、映像を解釈して視覚表現の豊かな予約サイトを生成したと説明している。
もっとも、市場投入のタイミングではMetaは後発だ。OpenAIはすでに並列クラウドベースのコーディングエージェント「Codex」を提供しており、DeepSeekもClaude Codeの競合製品を投入した。HermesやOpenClawなど、オープンソースベースのAIコーディングツールも広がっている。Metaは、最高性能ではなく、障害復旧や長時間の自律実行、サブエージェントの運用方式を差別化材料として打ち出す。
その半面、長時間にわたり自律動作するAIエージェントは、生産性を高める一方で予測可能性を損なう可能性がある点が課題として残る。
Metaは、こうした仕組みが今後の開発環境で重要になるとの見方を示し、まずはベータ版を公開した。開発者はインストールコマンドを通じてMuse Codeを直接試せる。