GoogleがAI部門の幹部人事を再編した。写真=Shutterstock

Googleが人工知能(AI)部門の幹部人事を見直した。デミス・ハサビス氏(DeepMind CEO)は同職を退き、長期的なAI研究を担うAlphabetの主席科学者に就く。ジェフ・ディーン氏も現職を離れ、新会社の立ち上げに向かう。発表後、Alphabet株は取引時間中に一時5%下落した。

5日(現地時間)、Business Insiderなど複数の海外メディアによると、スンダー・ピチャイCEOがこうした人事を発表した。

今回の再編では、ジェフ・ディーン氏の役割見直しも柱となる。Googleを代表するエンジニアリング幹部の1人である同氏は、サンジェイ・ゲマワット氏とともに新たな取り組みを進めるため、現在の役職を離れる。

Googleは、AIコーディングなどの主要分野でOpenAIやAnthropicとの競争激化に直面している。市場では今回の発表を受けて先行きへの警戒感も広がり、Alphabet株は一時5%安となった。

業界では、分散していたAI戦略をより一体的に運営する方向を示したとの見方が出ている。AIインフラ研究会社BEP Researchの創業者プーラディアン氏は、Googleについて「勝ちに行く体制を整えようとしているように見える」と述べた。

同氏は、GoogleのTPUインフラ設計を担ってきたアミン・バハダット氏を中核に近づけることは、組織の簡素化を狙った措置だと説明した。その上で「社内政治が減り、計算資源の配分が改善し、AI戦略も一本化される」との見方を示した。

一方で、ハサビス氏の役割変更は、すでに進んでいた流れを正式に追認したものにすぎないとの解釈もある。英国の記者セバスチャン・マラビー氏は、今回の措置について「非公式に進んでいたことを正式化したものだ」と評した。

マラビー氏は、ハサビス氏がしばらくGoogle AIの象徴的な存在として振る舞う一方、Google DeepMindの研究実務はコライ・カブクチュオグル氏が主導してきたと指摘した。

また、ハサビス氏はAIの展開を巡り、外部監督の導入を求めるなど、安全性の問題を重視してきたという。Alphabetと3年にわたり対立したともされ、今回の異動は同氏が再びその分野に軸足を移す局面だとの見方が出ている。

ただ、DeepMindの独立性や安全性の面では懸念もある。AI政策研究機関Valas Researchの創業者ズビ・モショビッツ氏は、今回の変更はAI安全性にとって前向きなシグナルではないと述べた。

モショビッツ氏は、ハサビス氏が象徴的な役割に移り、ジェフ・ディーン氏も第一線を離れる構図だと指摘。その結果、DeepMindがGoogle内の他組織に対して保ってきた意味のある安全性保証や独立性への期待に、事実上終止符が打たれかねないとみている。

Googleの長期的なAI投資と研究成果を評価する声もある。Sun Microsystems共同創業者のビノッド・コースラ氏は、GoogleはWaymoを開発していた時期からAIに大きく賭けており、AI加速の実質的な源泉だったと評価した。

コースラ氏は、スンダー・ピチャイ氏、ラリー・ペイジ氏、セルゲイ・ブリン氏を含むGoogleの経営陣について、技術を信じて投資を続け、開発スピードを引き上げた功績は正当に評価されるべきだと述べた。

もっとも、今回の人事がDeepMindの位置付けの変化につながるとの観測もある。技術ジャーナリストのテ・キム氏は、ジェフ・ディーン氏とデミス・ハサビス氏をGoogleで最も重要な2人のAI幹部に挙げた。

その上で、1人は会社を去り、もう1人はDeepMindの日常的な運営から退く以上、DeepMindにとって大きな転換点になり得るとの見方を示した。

今回の再編は、研究、インフラ、組織運営の中核を立て直す狙いがあるとみられる。今後は、GoogleがAI競争で意思決定のスピードと資源配分をどこまで高められるかに加え、DeepMindが重視してきた安全性原則をどのような形で引き継ぐかが焦点となる。

なお、ジェフ・ディーン氏は退社し、サンジェイ・ゲマワット氏(Googleシニアフェロー)と新会社を設立すると伝えられている。Googleはその新会社に出資する予定だ。

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