写真=LGエネルギーソリューション。カナダの「NextStar Energy」工場でESS製品を出荷した

LGエネルギーソリューション、Samsung SDI、SK onの韓国電池大手3社が、2026年4~6月期にそろって黒字転換した。もっとも、収益改善の中身を見ると、AMPC(先端製造生産税額控除)などの政策支援や一過性要因の寄与が大きい。需要面でも、回復を支えた中心はEVではなく、ESSやデータセンター関連需要へ移りつつある。

各社の決算によると、LGエネルギーソリューションの営業利益は1133億ウォンで、2四半期ぶりに黒字へ転じた。ただ、北米の生産補助金として2410億ウォンを計上しており、補助金額が営業利益を上回った。上期の累計純損失は1兆2727億ウォンだった。

Samsung SDIは営業利益2038億ウォンで、7四半期ぶりに黒字を回復した。米国での現地生産に伴うAMPCに加え、関税還付も利益を押し上げた。

SK onは営業利益8218億ウォンと3社で最も大きく、7四半期ぶりに黒字を確保した。2021年の分社化以降では、19四半期で最大の利益水準となった。ただし、この改善には米完成車大手Fordの合弁事業離脱に伴う事業体制の変更が大きく影響した。5月にFordが合弁から撤退し、SK onがテネシー州の生産拠点を単独で運営する形に移行。合弁解消によってAMPCの恩恵が拡大し、営業利益の急増につながった。

3社が前年同期の大幅赤字や低迷局面を脱したのは事実だが、黒字のかなりの部分を政策支援や一過性項目、事業体制見直しの効果に依存しているとの見方は根強い。

業績の反発自体は鮮明だ。とはいえ、構造的な需要回復よりも、補助金や補償金、還付といった外部要因の寄与が大きい。市場では今回の黒字を「道半ばの回復」とみる声も出ている。焦点は、補助金を除いても黒字を維持できるかどうかにある。

LGエネルギーソリューションとSamsung SDIはともに、10~12月期にはAMPCを除いても収益性を確保できるとの見通しを示した。ただ、両社とも立ち上げコストや初期稼働負担は7~9月期まで続くとみており、実質的な黒字定着を見極めるのは下期後半になりそうだ。

今回の業績反発を支えた共通項は、EVではなくESSだった。LGエネルギーソリューションは、北米と欧州を中心にESSの出荷が増加し、前四半期比で30%超伸びた。上期売上高は、EV向け生産能力の一部をESS向けに振り向けた効果もあり、前年同期比4.6倍に拡大。全社売上高に占める比率も20%台後半まで高まった。

Samsung SDIは、UPS(無停電電源装置)やBBU(バッテリーバックアップユニット)、電動工具向け高出力電池に加え、欧州でのEV販売も寄与し、電池部門で営業利益1593億ウォンを確保した。同部門の売上高は前年同期比18.8%増だった。

SK onも、EV需要の鈍化が長引く中で、ESS専用ブランド「Grid On」を正式投入した。既存のEV向けラインの一部をESS向けに転用し、新たな販路の開拓を進めている。北米を中心にEV市場の減速が続く間、ESSが業績の空白を埋めた格好だ。

ESS需要が急速に存在感を増している背景には、AIデータセンターの拡大がある。商用電力への依存だけでなく、自前の電力インフラを組み合わせる動きが広がっており、BTM(Behind The Meter)や独立型ESS、UPS、BBUの需要が同時に膨らんでいる。電力網接続の遅れや、データセンターの負荷変動の大きさも追い風になっている。

LGエネルギーソリューションは、上期の新規受注3兆ウォンの中に、最終顧客がハイパースケーラーであるデータセンタープロジェクトが含まれると明らかにした。Samsung SDIは、米国での角形電池の競争力と現地生産体制を前面に、主要ESS顧客と長期供給契約を締結した。角形LFP電池の量産とUPS向け生産能力の拡大も進めるとしている。

一方、下期以降の焦点は、EV需要の緩やかな回復を前提に、データセンターやロボット向けへどこまで事業の軸足を移せるかにある。LGエネルギーソリューションは高出力のタブレス2170電池でBBUやロボット市場を狙う。設備効率を従来比50%改善した米アリゾナ州の46シリーズラインは、10~12月期の稼働を予定する。

Samsung SDIは、高成長が見込まれるヒューマノイドや宇宙航空分野で主要顧客との協業を拡大する。ソディウムイオン電池についても、UPS・ESS向けの開発を進め、量産計画の具体化を急ぐ。SK onは、データセンター向け液体冷却ソリューションの認証をグローバルサーバー企業と進める一方、防衛産業や無人ロボット市場の開拓も加速している。Hyundai Rotemのほか、米国のAI基盤無人潜水艇企業、欧州の防衛企業とも電池供給を協議中だ。

もっとも、課題は残る。次世代プロジェクトの中核フォームファクターとされる角形電池への転換に加え、それを支える資金調達力が問われる。業界では、ESSやデータセンター需要が当面の業績を下支えしても、中国勢とのコスト差や投資余力の差を縮められなければ、今回の黒字は本格回復ではなく見かけ上の改善にとどまる可能性があるとの指摘が出ている。下期のEV需要の行方と、データセンター向け需要が実際の出荷につながるペースが、黒字基調の定着を左右しそうだ。

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