写真=Reve AI。Waymoのドミトリ・ドルゴフ共同CEOは、カメラ単独では完全自動運転に必要な安全性の確保は難しいとの見方を示した。

Waymoのドミトリ・ドルゴフ共同CEOは4日、完全自動運転の実現にはカメラ単独では限界があるとの認識を示し、LiDARやレーダーを組み合わせた複数センサー構成の必要性を強調した。カメラ中心の自動運転戦略を進めるTeslaとの違いが改めて浮き彫りになった。

Electrekによると、ドルゴフ氏はY CombinatorのStartup Schoolで、自動運転を巡るセンサー選定の議論に言及した。カメラのみのアプローチは運転支援用途では合理性がある一方、完全な無人走行まで拡張するには限界があると説明した。

同氏は、人間が視覚だけで運転している点は認めつつ、「人間並みの性能をおおむね満たすことや、運転支援システムを作ることが目的であれば、非常に合理的な選択肢だ」と述べた。その一方で、完全自動運転や人間を大きく上回る安全性能を目指す場合は話が変わるとし、「センシング能力が弱いと、必要な安全水準に達する前に性能向上が頭打ちになる」と指摘した。

発言では特定企業名には触れなかったものの、市場ではTeslaの「Tesla Vision」を念頭に置いたものと受け止められている。Teslaは2021年にレーダーを、2022年には超音波センサーを車両から外し、カメラ主体の自動運転開発に軸足を移してきた。イーロン・マスク氏もこれまで、LiDARは非効率だとして否定的な立場を示している。

これに対しWaymoは、カメラ、LiDAR、レーダーを組み合わせる理由を具体的に説明した。カメラは高解像度で色情報を取得できる一方、暗所や強い逆光では性能が落ちやすい。LiDARは周囲の3次元構造を直接把握でき、レーダーは霧や雨、雪の影響を受けにくく、速度情報の取得にも強みがあるという。

ドルゴフ氏は、これらのセンサーは単なる冗長構成ではないと強調した。「異なるセンシング方式は互いのバックアップにとどまらない」と述べ、各センサーのデータを統合することで、単一センサーでは得られない高精度な環境認識が可能になると説明した。

Waymoは具体例も示した。フェニックスで発生した砂嵐では、カメラがほとんど状況を捉えられなかった一方、LiDARは道路脇の歩行者を識別できたという。夜間にコンクリートの防護壁を越えて車道に進入する人や、街灯やヘッドライトのない暗い道路で犬を追って走る子どもについても、カメラでは認識が難しい場面でLiDARが比較的明瞭に捉えたとした。

センサーレンズが物理的に遮られるケースにも言及した。木の枝がワイパーで取り除けず一部センサーが使いづらくなった状況でも、別のセンサーを活用して車両が自力で車庫まで戻った事例を紹介した。

技術論争の核心として、同氏は信頼性の壁にも触れた。これを「ナインズの指数関数的なはしご」と表現し、90%や99%まで性能を高めるのは比較的容易でも、そこから先の信頼性向上には桁違いの努力が必要になると説明した。マスク氏も同様の考え方を「ナインの行進」と呼んだことがあるという。

初期の改善ペースが速い技術でも、その延長線上で最終的な製品性能に到達できるとは限らないとも指摘した。デモ向けサービス、運転支援機能、完全無人車では求められる安全基準がそれぞれ異なると改めて強調した。

コスト面の反論についても、同氏は慎重な見方を示した。Waymoは現在、第6世代のハードウェアを採用しており、世代更新のたびにコストは大幅に低下してきたという。足元の価格だけを理由にLiDARなどを排除するのは、短期的な数字だけで判断するようなものだと警告した。

業界では、車両本体にWaymoのセンサーパッケージとドライバーを含めたシステム全体のコストが、約6万ドルまで下がったと伝えられている。車両価格だけを見ればTeslaの方が約2万ドル安い可能性があるが、同氏は大規模運用に耐える実用システムを備えていることの方が重要だと主張した。

両社の運用実績にも大きな差がある。Teslaは2025年にオースティンでロボタクシーサービスを始め、直近1年間の累計無人走行距離は38万マイル(約61万2000 km)としている。これに対しWaymoは、乗客のみを乗せた無人走行距離2億2000万マイル(約3億5400万 km)を基に安全性報告を公表した。

同報告では、同じ走行距離の人間ドライバーと比べて重傷事故が94%少ないとしている。事故発生率は人間ドライバーの約17分の1に相当する計算だ。現在は米国15都市で週約50万件の有料配車を処理しており、週100万件への拡大を目指している。

今回の発言は、自動運転開発の競争が機能デモの段階から、大規模な商用運用と安全性の実証へと軸足を移しつつあることを示している。カメラ中心の方式が運転支援を超えて完全無人サービスまで拡張できるのか、それとも複数センサー方式がコスト低減と拡張性を両立できるのかが、今後の焦点となる。

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