ロシアで暗号資産の新たな規制枠組みが9月1日に発効するのを前に、利用者の多くが実際の活用場面を見いだせていない実態が明らかになった。現地調査では、回答者の69%が「制度施行後も明確な使い道はない」と答えた。
ブロックチェーン関連メディアのCryptopolitanが8月4日(現地時間)に伝えたところによると、ロシアのメディア企業Rambler&Coの調査でこうした結果が出た。
調査は、ロシアで包括的な暗号資産規制の導入が近づく中、インターネット利用者約2000人を対象に実施した。ロシア下院に当たる国家会議は最近、「デジタル通貨およびデジタル権利」法案を可決。法案の成立には、上院に当たる連邦評議会の承認と、ウラジーミル・プーチン大統領の署名が必要となる。
新制度は、拡大してきた暗号資産市場を制度の枠内に取り込むことを目的とする。主要条項は9月1日に発効する予定で、一部の追加規定は2027年から適用される。投資や取引に関するルールを定めるほか、暗号資産の交換・保管に特化したプラットフォームの認可制度も盛り込む。
もっとも、制度開始後も市場の開放範囲は限定的だ。ロシア国民はビットコインなどの暗号資産に初めて合法的にアクセスできるようになる一方、対象は流動性の高い銘柄に限られる。さらに、適格投資家以外の年間投資上限は4000ドル未満に制限される。
こうした制約もあってか、足元の需要は大きくない。回答者の52%は現在暗号資産を利用しておらず、制度施行が自身の生活にどのような影響を与えるのか分からないと答えた。
一方で、限定的ながら活用を見込む層もいる。8%は海外での購入に暗号資産を使う意向を示し、6%は長期投資や資産分散の手段と位置付けた。4%は事業用途、13%はその他の用途を想定しているとした。
規制導入そのものを前向きに受け止める回答もあった。22%は制約が多くても暗号資産を規制すべきだと答え、20%は明確なルールのある市場への移行を待っていたとした。6%は法案採択後に関心が高まったとし、短期的な高収益への期待より、規制の明確さやリスク保護を重視する姿勢を示した。
普及に向けては情報不足も大きな課題だ。38%は暗号資産に関する「正確な情報」を求め、36%は曖昧さのない法律や規制を望んだ。16%は、認可プラットフォームの信頼性や使いやすいインターフェース、利用者支援の充実に期待すると答えた。
理解度の低さも浮き彫りになった。54%は暗号資産の仕組みをほとんど理解していないと答え、23%は市場を把握するには情報が不十分だとした。基本的な知識があるとした回答は17%にとどまり、投資経験がある人の比率は6%だった。
それでも、新制度への期待が全くないわけではない。39%は今回の立法によって暗号資産分野の金融取引がより簡素化されることを望むと回答し、15%は環境が整えば暗号資産を既存通貨の代替として捉える用意があるとした。ただし、暗号資産による直接決済は禁止が続くため、制度施行後も実際の利用範囲は限られる可能性が高い。
一方、ロシアでは中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタルルーブルの導入準備も並行して進んでいる。別の調査では、46%がデジタルルーブルの導入後に利用する意向があると回答した。ロシア中央銀行は同じく9月から、関連プラットフォームを一般向けに開放する準備を進めている。