米上院で審議が進む暗号資産(仮想通貨)市場構造法案「Clarity法案」を巡り、予測市場のスポーツ関連契約を州法および部族法の管轄下に置くよう明記すべきだとの要求が強まっている。米商品先物取引委員会(CFTC)への監督権限の一元化に反対する声が上がっており、法案審議の日程もなお不透明だ。
ブロックチェーン専門メディアのCoinPostによると、上院インディアン問題委員会は4日(現地時間)、予測市場の規制をテーマに円卓会議を開いた。出席した上院議員と部族のゲーム規制当局者は、スポーツ賭博の管轄権は州側に残すべきだとの立場を示した。
焦点となっているのは、予測市場プラットフォームが提供するスポーツ関連契約を誰が監督するのかという点だ。CFTCが単一の規制当局として管轄すべきだとする見方と、既存の州法や部族のゲーム関連法を優先すべきだとする見方が対立している。会合では、CFTCに権限を集中させる方向に対する反対論が表面化した。
米国インディアン・ゲーミング協会のテハシ・ヒル副会長は、Clarity法案を修正し、予測市場を通じたスポーツ関連の賭博を禁止する条項を追加するよう上院議員に求めた。州政府と部族のゲーム関連法がCFTCに優先することを、法案に明記すべきだと訴えた。
民主党のティナ・スミス上院議員は、同様の文言をClarity法案、または農業法案に盛り込むことは可能だとの認識を示した。「CFTCの権限がインディアン・ゲーミング規制法や、部族と州政府の間の契約を排除しないことを明確にする手段は、すでに存在する」と述べたうえで、予測市場も既存の法体系に従うべきだとの見解を示した。
この論争は過去1年で急速に広がった。ドナルド・トランプ政権は、マイケル・セリグCFTC委員長に予測市場の監督権限を与える案を支持し、これを「極めて重要」と位置付けてきた。一方、セリグ委員長は、CFTCが予測市場に対して「排他的管轄権」を持つと主張し、複数の州を相手取って訴訟を起こしている。各州は、とりわけスポーツ関連契約が州の賭博法に抵触する可能性があるとして反発を強めている。
市場側の利害も鮮明だ。予測市場プラットフォームのPolymarketとKalshiは利用者数を伸ばし、企業価値はそれぞれ数十億ドル規模に達している。両社はいずれも、CFTCを中心とする単一規制を支持している。予測市場が暗号資産と直接関わる法案論議に組み込まれたことで、デジタル資産業界が注視してきたClarity法案の政治的な不確実性も高まった。
法案処理の日程も依然として見通せない。上院銀行委員会と農業委員会の統合ドラフトは7月22日ごろに公表され、法案は上院の審議日程に入っている。ただ、現時点では討論終結動議(クローチャー)は提出されていない。
ジョン・チューン上院院内総務は4日、8月10日から9月14日までの休会前に、上院で最初の手続き採決を実施する見通しを記者団に示した。ただ、このクローチャー採決が実際に可決されるかは不透明だとも述べた。最大の争点とされる倫理条項について、ホワイトハウスがなお結論を示していないためだ。
上院規則では、クローチャーが提出されると通常は中1営業日を置き、2日目に採決が行われる。可決には60票が必要で、可決後は最大30時間の追加討論を経て、本格審議に入るための採決に進む。その後も法案本体に対する追加のクローチャーが必要となるため、最終採決までには2度にわたり60票の賛成を確保しなければならない。
このためClarity法案は、倫理条項に加え、スポーツ賭博を巡る管轄権の問題という新たな争点も抱えることになった。休会前に最初の手続き採決に進んだとしても、法案修正の有無と超党派での60票確保が引き続き焦点となる。