AIを巡る米中競争は、半導体に加えてAIモデルやデータセンター中核機器にも広がっている。写真=Shutterstock

米トランプ政権が、AIデータセンター向けの中国製光トランシーバーに対する規制を検討している。半導体やAIモデルに続いて、データセンターのネットワーク機器にも対象を広げる構えで、米中のAI覇権争いはサプライチェーン全体に波及しつつある。

8月4日付のCryptopolitanによると、米政府はデータセンター向け中国製光トランシーバーの米国内での使用を制限する案を検討している。

光トランシーバーは、データセンター内で光ファイバーを通じてデータを送受信するための重要部品だ。AIモデルの学習に用いる大規模データセンターでは、サーバー間の超高速通信を支える中核機器の一つとされる。

規制は、米連邦通信委員会(FCC)が中国製光トランシーバーの米市場への新規流入を抑制する方向で進む可能性がある。最終決定には至っていないが、実施されれば米国内のAIデータセンター事業者の調達戦略に大きな影響を与えそうだ。

米政府は、規制を進める理由として国家安全保障を挙げている。海外企業が供給した機器がAIインフラに組み込まれた場合、データ流出やマルウェア混入、サービス妨害などのリスクが生じ得るとの見方だ。

こうした懸念は、中国製機器を巡る近年の安全保障論争とも重なる。昨年には、研究者が中国のUnitree Roboticsのロボット犬「Go1」で、遠隔アクセスを可能にするバックドアの脆弱性を発見したと報告した。米規制当局は、データセンターの電力網で使われる中国製電力インバーターについても、安全保障上の懸念を示してきた。

市場では、中国の光トランシーバーメーカーZhongji Innolightが直接的な影響を受ける可能性が高いとの見方が出ている。同社は6月、米国防総省が中国軍と関係する企業のリストに追加した企業であり、データセンター向け光トランシーバーの世界市場で約27%のシェアを持つとされる。

一方、米CoherentとLumentumには代替需要が向かう可能性が指摘されている。ただ、両社とも短期的な需要増を吸収できるだけの生産能力は十分でないとの評価がある。

米国の対中規制はハードウェアにとどまらず、AIソフトウェア分野にも広がっている。米政府は中国のオープンウエイトAIモデルに対する規制も検討しているが、業界内では見方が分かれている。

Metaのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、中国製AIを禁じるよりも、米国はより優れた技術の開発とインフラ整備に注力すべきだと主張した。米AIスタートアップの一部からも、低価格の中国AIモデルまで遮断すれば、かえって米開発者の競争力を損なうとの懸念が出ている。

中国側も対抗措置の可能性を示唆している。在米中国大使館は、中国企業を標的とした規制を米国はやめるべきだと求め、自国の利益が損なわれる場合には必要な対応措置を講じると表明した。

一連の動きは、米中の技術競争が半導体やAIモデルにとどまらず、データセンターのネットワーク機器やサプライチェーン全体へ広がっていることを示している。AIインフラを巡る両国の規制競争は、今後さらに激しさを増す可能性がある。

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