ビットコイン(写真=Shutterstock)

フランスの半導体企業Sequans Communicationsが、保有するビットコインを大幅に圧縮した。第2四半期に1200枚超を売却し、転換社債の完済と財務体質の改善を進める一方で、IoT向け半導体の本業立て直しに注力する。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが現地時間4日に報じたところによると、同社は第2四半期にビットコインを1200枚超売却した。これにより、3月末時点で1514枚あった保有量は第2四半期末に314枚まで減少した。残る保有分の評価額は約1840万ドルとしている。

同社は昨年から、ビットコインを財務運用の一環として保有拡大を進めていた。2025年7月に370枚を購入した後、保有量を3300枚超まで積み増し、最大2億ドル規模の株式売却を通じて3000枚超を追加取得する計画も示していた。

ただ、その後は方針を転換した。昨年11月には転換社債の返済を目的に約970枚を売却し、今年第1四半期にも1025枚を追加で処分。今回の第2四半期の売却で、ビットコイン重視の戦略を大きく後退させた格好だ。

売却は損益面でも改善につながった。第2四半期のビットコイン売却では530万ドルの実現益を計上した。第1四半期は価格下落局面で売却したため、1170万ドルの実現損失を計上していた。

ビットコインの評価損も大幅に縮小した。第1四半期は2930万ドルの評価損が発生し、純損失は7620万ドルまで拡大したが、第2四半期の減損は300万ドル程度に低下した。

ジョルジュ・カラムCEOは、今回の売却について暗号資産投資からの撤退ではなく、財務構造を整えるための措置だと説明した。5月に転換社債を全額返済し、第2四半期末の現金同等物は2100万ドルと、3カ月前の1060万ドルから増加したという。貸借対照表上の負債もすべて解消したとしている。

一方、本業の半導体事業には回復の兆しが出ている。第2四半期の売上高は750万ドルで、前四半期比23.2%増。会社計画も上回った。

前年同期比では8.4%減だったが、前年実績にはQualcommとの一時的なライセンス収入が含まれていた。これを除くと、実質的な製品売上は前年同期比84.2%増となる。

カラムCEOは、製品売上が全体の成長をけん引したと説明。現在40件超の設計採用案件が量産段階に入っており、これは今後3年間で見込む約3億ドル規模の製品パイプラインの55%に相当すると述べた。RFトランシーバー技術を採用する初のドローン顧客も獲得したという。

もっとも、収益性にはやや下押し圧力がかかった。第2四半期の売上総利益率は32.9%と、前四半期の37.7%から低下した。相対的に利益率の低いハードウェア製品の構成比が高まったためとしている。

市場は財務正常化と本業集中の方針を好感した。Sequans Communicationsの株価は4日のプレマーケット取引で2.87ドルとなり、前日終値比17.62%上昇した。ただ、52週高値の13.90ドルをなお大きく下回る水準にある。

企業によるビットコイン保有の見直しは同社に限らない。Mara Holdings、Riot Platforms、Hut 8など一部の暗号資産関連企業もエクスポージャーの調整を進めており、最大の保有企業とされるStrategyも最近、現金確保と配当原資のために一部を売却した。

企業のビットコイン戦略が保有拡大一辺倒から、財務安定と事業投資の両立を重視する方向へ移る中、Sequans Communicationsの判断はその転換を示す事例として注目を集めそうだ。

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