12年間動きのなかったビットコイン500BTCが、新たなアドレスへ一括で移動した。Coldcardのハードウェアウォレットを巡るセキュリティ問題が広がる中での動きで、市場では大規模な売却というより、保管先の見直しを目的とした移管との見方が広がっている。
Bitcoin Magazineが4日に報じたところによると、12年間休眠状態にあったビットコインアドレスから、保有していた500BTC全量が新アドレスに送金された。現在の相場では約3180万ドル(約477億円)に相当する。
ブロックチェーンデータによれば、当該アドレスは単一のトランザクションで全量を移動した。手数料は191サトシ(約0.12ドル、約18円)だった。このアドレスは12年間にわたって資金移動が確認されておらず、事実上の休眠ウォレットとみなされていた。
この動きは、オンチェーン分析アカウントのLookonchainが最初に報告した。市場関係者が注目しているのは、Coldcardを巡るセキュリティ問題の拡大とタイミングが重なっている点だ。長期保有者が資産をより安全な保管環境へ移した可能性があるとの見方も出ている。
背景には、Coldcardに関するセキュリティ問題がある。最近では、ハッカーが同製品のソフトウェア脆弱性を悪用し、利用者のビットコインを盗み出したと伝えられた。当初は被害額が数千万ドル規模とみられていたが、その後も被害拡大が続いている。
Galaxy Researchは3日、第4波の攻撃を調査中だと明らかにし、流出額の累計が約1億3000万ドル(約195億円)に達する可能性があると発表した。製造元のCoinkiteも、追加被害を確認した後、Coldcardの全モデルに脆弱性の影響が及んでいることを認めた。
セキュリティ専門家は、今回の問題が特定製品にとどまらず、ハードウェアウォレット全般の保管方法を見直す契機になり得るとみている。一部エンジニアからは、Coldcardに関連するビットコインアドレスが追加攻撃の対象になる可能性も否定できないとの指摘が出ている。
長期間動きのないビットコインは、一般に紛失資産とみなされることも多い。秘密鍵の紛失やアクセス権限の喪失によって、何年も取引が行われないケースが少なくないためだ。一方で、大口保有者がセキュリティ強化や資産再配置を目的に、長期保管分を新アドレスへ移す例もある。
このため市場では、今回の500BTC移動は即時の売却シグナルではなく、保管目的の移転である可能性が高いとの見方が優勢だ。取引所への入金が確認されていない以上、現時点で市場売却に結び付いたとみるのは難しい。
Coldcardの問題が表面化して以降、ビットコイン保有者の間では資産をより安全な環境へ移す動きが広がっている。今後は追加被害の規模に加え、長期保有者が従来の保管方法をどの程度のペースで見直すかが焦点となりそうだ。