ビットコインはマクロ要因と暗号資産固有の材料の両面に反応している。写真=Shutterstock

ビットコイン相場は8月第1週、6万3000ドル近辺でもみ合う展開となっている。足元では、米日による円安是正のための協調介入観測に加え、米7月雇用統計、中東情勢、米株の季節要因、ハードウェアウォレット「Coldcard」を巡る流出問題が重なり、短期相場の方向感を左右する局面に入った。

3日付のCointelegraphによると、市場ではマクロ経済の不透明感に加え、暗号資産市場固有のセキュリティリスクや季節的な調整圧力が警戒されている。

最大の注目材料の一つが、米日による為替市場への協調対応観測だ。対ドルの円相場が前週に1ドル=164円近辺まで下落したことで、市場では円安是正に向けた共同介入への思惑が強まった。

QCP Capitalは、今回の動きを2011年以来の米日共同介入に当たる可能性があると分析した。円を支えるための共同対応としては1998年以来になるとの見方も示している。ニューヨーク連邦準備銀行については、FRBとして独自の金融政策判断を示したのではなく、米財務省の代理人として動いた点が重要だと指摘した。

スコット・ベッセント米財務長官も、追加介入の可能性を示唆した。「金曜日の共同措置は無秩序な円の動きへの対応だ」と述べ、日本の財務省と日本銀行と継続的に連携しており、必要であれば追加の共同介入もあり得るとの認識を示した。

市場の関心は、こうした為替介入が世界の流動性環境にどのような影響を及ぼすかに向かっている。ドル流動性の変化は、リスク資産として取引されるビットコインの値動きにも波及し得るためだ。

今週の重要経済指標は、米国の7月非農業部門雇用統計となる。6月の雇用者数の増加は5万7000人と、市場予想の11万4000人を大きく下回った。さらに前2カ月分も合計7万4000人下方修正され、労働市場の減速が改めて意識された。

この結果を受けて、前回はFRBの利下げ期待が強まり、ビットコインの支援材料となった。Continuum Economicsは、7月の非農業部門雇用者数が12万人へ持ち直す一方、失業率は4.2%から4.3%へ上昇する可能性があるとみている。

中東情勢も無視できない。ドナルド・トランプ米大統領はイランとの交渉の可能性に言及し、追加攻撃を見送った。その後、国際原油価格は急落し、WTIとブレントはいずれも8%超下落した。市場では、緊張緩和がリスク選好の回復につながるかを見極めている。

一方、米株市場の季節的な弱さもビットコインには逆風となり得る。Mosaic Asset Companyは、米中間選挙を控えるなか、10月まで株式市場に季節的な逆風が続く可能性があると分析した。

実際、7月のS&P500は0.8%下落し、ナスダック総合指数は3.2%安となった。ナスダックは2006年以降で最悪の7月成績だった。半導体株の急落に加え、企業収益への圧迫懸念や大規模なAI投資負担への警戒が重なり、市場では2日間で6200億ドル(約93兆円)が失われた。

暗号資産市場では、Coldcardのハードウェアウォレットに関連するハッキング被害も新たな悪材料として浮上している。2021年から存在した脆弱性を突いた攻撃で、3日時点では約9000万ドル(約135億円)相当のビットコインが流出したと推計されている。

Galaxy Researchのアレックス・ソンはColdcard利用者に対し、影響を受けたウォレットからできるだけ早く資金を移し、攻撃者に取引を優先処理されないよう、手数料を高めに設定するよう呼びかけた。

もっとも、現時点で大規模なパニック売りや異常な資金流出は確認されていない。CryptoQuantによると、ビットコインの取引所への純流入は1日に3万4932BTC、3日に8768BTCだった。流入は増加したものの、直近1カ月のレンジを大きく上回る水準ではない。

需給面では、長期保有者の蓄積傾向が続いている。CryptoQuantは、30日ベースの長期保有者供給変化指標で約22万400BTCが長期保有に回ったと分析。長期投資家による吸収量が、市場に放出される量を上回っていると説明した。

価格面ではなお警戒が必要だ。ビットコインは7月に7.4%上昇したが、8月は季節的に弱含みやすく、長期的な下落サイクル再来への懸念もくすぶる。

Rekt Capitalは、50カ月指数移動平均線(EMA)の6万5827ドルを主要な上値抵抗線として挙げる。この水準を上抜けられるかが、今後の相場の方向性を占う重要なポイントになりそうだ。デリバティブ市場では、反発局面で6万4200ドル近辺のショートポジションに清算が出る可能性も意識されている。

今週のビットコイン市場は、米雇用統計をはじめ、米日為替介入観測、中東情勢、米株の季節要因、Coldcard問題後の資金移動の有無を同時に織り込む展開となる。短期的には下押し圧力が残る一方、長期保有者の買い支えも続いており、6万3000ドル近辺でどちらに放れるかが当面の焦点となる。

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