写真=Reve AI。上場後初の決算発表を控えるSpaceX

SpaceXが上場後初の決算発表を迎える。株価は上場から約1カ月で大きく下落し、時価総額は高値から5000億ドル超縮小した。市場では、ロックアップ解除の影響に加え、次世代ロケット「Starship」の進捗、人工知能(AI)戦略、新たな収益源の立ち上がりに注目が集まっている。

米CNBCが3日(現地時間)に報じたところによると、SpaceXの株価は6月12日の初取引以降、4週連続で下落した。日中高値からの下落率は50%を超えており、大型テック企業の新規上場としては、2012年のFacebook以来の急速な値崩れとの見方も出ている。

Facebookも上場直後は株価が低迷し、数カ月にわたって下落して公募価格の半値以下まで売られた経緯がある。ただ、当時の上場初日時価総額は約1000億ドルで、今回SpaceXが失った時価総額の5分の1にとどまる。

SpaceXは5日の取引終了後、上場後初の決算を発表する。現在の時価総額は約1兆4000億ドル(約210兆円)に達するが、足元の業績に対しては割高との見方がある。売上高に対する株価倍率は70倍台に上り、四半期ベースで数十億ドル規模の資金を消費しているうえ、負債は現金のほぼ2倍に達するという。

株価の重荷として意識されているのがロックアップ解除だ。数日以内に段階的に売却制限が解かれれば、初期投資家は初めて保有株を売却できるようになる。空売り筋も足元の下落局面で含み益を膨らませている。

S3 Partnersでリサーチ部門を率いるマシュー・アンダーマンは、金曜日時点で空売り投資家の評価益が約83億ドルに達したと明らかにした。そのうえで、「上場後初の決算発表を控えた超大型株で、これほど急速かつ攻撃的に弱気ポジションが積み上がった例はほとんど見たことがない」と述べた。

一方、一部の証券会社は今回の下落を買い場とみている。New Street Researchのアナリスト、ベン・ハーウッドは、上場後の値動きの大きさを認めつつも、長期投資家にとっては魅力的な参入局面だと評価した。

ハーウッドは「成長余地は極めて大きく、SpaceXは現在の市場で最も強固な競争優位性を持つ企業の一つだ」と指摘した。New Street Researchは上場直前、目標株価を165ドルとしていた。SpaceX株の金曜日終値は108.37ドルだった。

今回の決算で最大の焦点となるのはStarshipだ。SpaceXは、完全再使用型の次世代ロケットであるStarshipが実用化されれば、打ち上げコストを引き下げるとともに、Starlink衛星網と衛星通信事業を一段と拡大できるとみている。現時点で利益を生んでいるのも、この衛星通信関連事業に限られるという。

従来のFalconロケットはSpaceXを世界最大の打ち上げ事業者へ押し上げたが、打ち上げ事業そのものはなお赤字とされる。

SpaceXは目論見書で、Starshipが完全再使用や高い打ち上げ頻度を実現できなければ、1回当たりの打ち上げコスト上昇、大規模衛星網の配備遅延、売上成長の鈍化、資本需要の拡大につながる可能性があると説明した。また、今年下期にはStarshipが軌道へのペイロード投入を開始することへの期待も示している。

ただ、7月24日にテキサス州Starbaseで実施した13回目の試験飛行では、Super Heavyブースターが分離後にメキシコ湾へ着水したものの、着陸燃焼に向けたエンジン再点火は一部にとどまり、想定通りの着水は果たせなかった。

Bernsteinのアナリストは、Starshipを企業価値を正当化するうえで最重要の変数と位置付けた。そのうえで、半導体の需給、規制手続き、コンピュート容量の確保もあわせて注視すべき論点だと指摘した。「今四半期の数値そのものは重要ではない。焦点は、経営陣が成長軌道にどこまで確信を示せるかだ」との見方を示している。Bernsteinの投資判断は「買い」、目標株価は239ドルだ。

AI戦略も今回の決算で検証対象となる見通しだ。SpaceXは2月にイーロン・マスクのxAIと合併した後、軌道上データセンターの構築とAIサービス拡大を進めている。600億ドル規模(約9兆円)のAIコーディング・スタートアップ、Cursorの買収も進行中で、規制当局の承認を経て第3四半期中の完了を見込んでいる。

一方で、Grokチャットボットは米国防総省との契約を獲得した半面、画像編集ツールがディープフェイクのわいせつ画像拡散に悪用されたとして、米国と欧州で調査や訴訟に直面している。

新たな収益源として浮上しているコンピュート賃貸事業にも関心が集まる。SpaceXはデータセンターの余剰コンピュート容量を外部に貸し出しており、上場直前にGoogleと結んだ契約では、月9億2000万ドル(約1380億円)の収入を見込むという。

Anthropicはメンフィスの「Colossus 1」データセンターの容量を全量利用することを決めた。さらにReflection AIにも別契約でコンピュート容量を提供している。

こうした新収益源は、Cantorが強気見通しを維持する理由にもなっている。Cantorは目標株価を246ドルとし、「ホスティング・コンピュート事業の収益性が確認され、資金調達の道筋が明確になり、ロックアップ解除を巡る初期の売り圧力が和らげば、今回の決算はこれまでの懸念を相当程度和らげる可能性がある」と説明した。そのうえで、「決算発表を前に、株価は底値圏に近づいている」と付け加えた。

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