Cafe24は3日、在庫・販売データを統合分析する「在庫分析マーケティング(AIM)」の導入店舗のうち、在庫回転率が平均12%改善したと発表した。物流管理システム(WMS)と連携し、リアルタイムで在庫分析が可能な67店舗を比較した結果、在庫消化期間も22%短縮したという。
EC運営ではこれまで、在庫は主に管理対象として扱われてきた。残数を確認して不足分を発注し、滞留在庫は値引きや企画展開で消化する運用が一般的だった。Cafe24は、こうした在庫データを単なる管理指標ではなく、広告配信や補充、販促施策の優先順位を決める判断材料として活用すべきだとしている。
同社によると、課題はすべての商品在庫を同じ基準で管理しがちな点にある。同じ在庫量でも、広告投下で販売拡大を狙うべき商品もあれば、安定供給を優先すべき商品、企画展開や掲載順の見直しで先に消化すべき商品もある。在庫が何を示しているのかを商品ごとに見極めることが重要だという。
Cafe24のマーケティングセンターは、この考え方をシステム化した。AIMは、運営過程で蓄積される商品、注文、販売、訪問、在庫の各データを一元的に連携して分析する。個別データを示すだけでなく、複数データを一連の流れとして捉え、商品の状態を診断する点を特徴とする。
分析結果は商品マトリクスを通じて販売戦略に反映する。AIMは、売上への貢献度と販売の安定性を掛け合わせて商品を分類し、安定的に売上を生む中核商品か、販売変動が大きく在庫負担が生じやすい商品か、表示強化で追加成長が見込める商品かを見極める。
その上で、どの商品に広告を集中するか、どの商品の在庫を厚めに持つか、どの商品を企画展開や掲載順の変更で優先的に消化するかを提案する。広告配信前の段階で重点商品と注意商品を切り分けられる点が、従来の在庫管理システムとの違いだとしている。
分析対象は在庫データだけではない。Cafe24によると、AIMは購買履歴やカート投入、併売データも合わせて分析し、どの商品を組み合わせて表示すれば購入確率が高まるかも提案する。一定の反応はあるものの、表示順位に埋もれて販売につながっていない商品を抽出し、掲載や表示強化の指針を示す機能も備えるという。
同社は導入事例として、女性アパレルブランド「Meriet」を挙げた。Merietは固定ファン層を持つ一方、新商品の売り上げが発売直後に集中し、その後鈍化する傾向が続いていた。自社制作商品のため需要予測が難しく、発注のたびに在庫負担を抱えやすかったという。商品ごとに販売速度や需要パターンが異なるにもかかわらず、同一基準で運用していたことが課題だった。
AIM導入後は、商品別の販売パターンと在庫の動きに合わせて運用方針を見直した。その結果、在庫回転率は年9.2回から20.7回へ拡大し、約2.25倍となった。在庫消化期間は40日から18日に短縮し、1日当たり平均出荷量も23個から66個へ約2.9倍に増加したが、欠品は発生しなかったという。
在庫回転の改善により、倉庫に滞留していた資金の回収も前倒しされた。確保した資金を再び広告に振り向けることで、広告拡大が販売増と在庫回転の改善につながる循環が生まれたとCafe24は説明している。
同社は、在庫データと広告運用を連動させる意義も強調する。販売可能性の低い商品に広告費を投じたり、すでに欠品した商品に予算を使ったりするケースは、広告データだけでは見極めにくい。在庫・販売データを基に、どの商品が売上に寄与しているかを先に判断した上で、広告対象を決める必要があるとしている。
Cafe24は個別事例にとどまらない検証も実施した。AIM導入店舗のうち、WMSと連携してリアルタイム在庫分析が可能な67店舗を対象に、導入前後の日次在庫データを比較した結果、平均在庫回転率は12%上昇し、在庫消化期間は22%短縮した。
Merietの改善幅と67店舗平均には差がある。業種や商品構成、従来の運用水準によって効果が変動し得ることを示す一方、サンプルを広げた比較でも改善傾向が確認されたことで、在庫データの活用が運用効率の向上につながる可能性を示したとしている。