カナダの富豪投資家フランク・ジュストラ氏が、Strategyによる最近のビットコイン(BTC)一部売却を受け、同社のマイケル・セイラー会長を強く批判した。論点は保有量そのものではなく、巨額のBTC保有を支える資金調達の仕組みに移っている。
暗号資産メディアのU.Todayが3日付で報じたところによると、ジュストラ氏は「セイラーは世界最大の暗号資産にとって恩恵どころか、むしろ大きな害を及ぼした」と述べた。
発端となったのは、Strategyが財務戦略の一環としてBTC1637枚を約1億230万ドル(約154億円)で売却したと明らかにしたことだ。同社は売却後も84万2138BTCを保有しており、企業として最大のビットコイン保有者としての地位を維持している。保有資産の価値は約526億5000万ドル(約7兆9000億円)とみられる。
今回の発言で、ジュストラ氏とセイラー氏の間で続いてきた金とビットコインを巡る論争も再燃した。X(旧Twitter)上で、あるユーザーが今回の批判について「2021年の公開討論で敗れたことへの反応だ」と指摘すると、ジュストラ氏はその後の相場推移を根拠に反論した。
ジュストラ氏は「2021年4月16日の討論当時、ビットコインは6万5000ドル(約975万円)、金は1700ドル(約25万5000円)だった」としたうえで、「その後の価格推移が自らの主張を十分に裏付けた」と主張した。
金投資を支持する立場で知られるジュストラ氏は、機関投資家によるビットコイン採用を積極的に訴えてきたセイラー氏と長年対立してきた。一方、セイラー氏は今回の売却について、バランスシート強化に向けた通常の財務戦略の一部だと説明している。
市場の関心は売却規模そのものより、Strategyの資金運用手法に集まっている。ビットコイン批判で知られるピーター・シフ氏は、同社が直近1週間でBTC約1638枚とMSTR普通株300万株超を売却して現金を確保した後、STRC優先株を買い戻したと指摘した。
シフ氏は、こうした取引の構造が結果的に普通株主の負担を重くする仕組みだと主張した。
さらに同氏は、この過程でStrategyの年初来のビットコイン収益率が3.5%まで低下し、5月に記録した高水準から約74%減になったと評価した。STRC優先株については、同社にとっての重荷(Albatross)になったとし、現在の資金調達構造の下では追加のビットコイン売却と普通株の希薄化が避けられない可能性があると批判した。
また、Strategyの取引構造が普通株投資家の利益につながるとの見方にも同意しなかった。現行の仕組みは継続的な希薄化を招き、同社がいわゆる「デススパイラル(death spiral)」に陥るリスクがあるとの従来の見方を改めて示した。
今回の論争は、Strategyの巨額のビットコイン保有そのものではなく、その保有を維持・拡大する資金調達手法が企業と株主、さらにビットコイン市場にどのような影響を及ぼすのかという議論へと広がっている。セイラー氏が通常の財務戦略だと強調する一方、批判的な立場からは株主価値の希薄化や追加売却の可能性を懸念する声が強まっており、論争は当面続きそうだ。