中国のロボット企業UBTECHが投入する個人向けヒューマノイド「U1」シリーズの予約受注が1万3361台に達した。情緒的な交流や対話機能を前面に打ち出している一方、家庭内での実用性にはなお見極めが必要で、9月の出荷開始後の評価が普及の試金石となる。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが2日、報じた。UBTECHは6月上旬に予約販売を始め、6月30日までに1万3361台を受注した。初回出荷は9月16日を予定している。
U1シリーズは「ライト」「プロ」「ウルトラ」の3モデルをそろえる。部分型モデルから全身型ヒューマノイドまでを含み、価格は11万9800元から99万元。UBTECHは、表情表現や音声インタラクション、AIベースの対話機能を備えた家庭向けロボットとして訴求している。
もっとも、市場の受け止めは一様ではない。期待感を持って購入したユーザーがいる一方で、実機に触れて慎重な見方に転じたケースも出ている。
北京の購入者の1人は、15万9800元で「U1 Pro」を購入した。料理や床掃除までこなすとは当初から期待していなかったといい、「いちばん楽しいのは、届くのを待っている時間かもしれない」と話した。初期段階の個人向けヒューマノイドを所有すること自体に価値を見いだしているという。
雲南省に住む30歳の購入者、ヤン氏も「U1 Pro」を購入した。ふだんから自動化機器や新技術の製品をよく買うとしたうえで、「期待値は高くないが、すでに買った以上、返品するつもりはない」と語った。実用性よりも、技術の進化をいち早く体験したいという需要が一定数あることをうかがわせる。
一方で、公開イベント後に失望感を示した購入者もいた。ある購入者は男性型の「U1 Pro」に3000元の申込金を支払ったものの、6月の公開イベントでロボットの動作性能が限定的にしか示されなかったことに不満を抱いたという。江蘇省の購入者、マー氏はオンラインの公開イベントを見た後、申込金の全額返金を求めた。情緒的な交流を重視するコンセプト自体には関心を持ったが、現時点の技術水準は期待に届かないと判断したとしている。
こうした反応は、家庭用ヒューマノイドがなお多くの課題を抱えていることを浮き彫りにする。工場や組立ラインで反復作業を担う産業用ロボットと異なり、家庭向けのヒューマノイドには、予測しにくい生活空間を移動しながら人と自然にやり取りする能力が求められる。将来的には対話相手やコンパニオンの役割にとどまらず、家事支援まで担えるかどうかが市場拡大のカギとなる。
UBTECHの創業者兼CEO、ジョウ・ジエン氏は、現時点での限界を認めつつ、情緒的なインタラクションを現実的な出発点に位置付けた。「ロボットは大規模言語モデルと感情AIモデルを通じて、まずコンパニオンとしての役割を果たせる」と説明。「掃除、洗濯、料理といった家事機能は、今後、情緒的なインタラクションと結び付いた形で発展していく」と述べた。
市場では中長期の需要拡大を見込む声もある。TrendForceは、高齢化や出生率低下、単身世帯の増加がいわゆる「コンパニオン経済」を押し上げ、コンパニオン型ヒューマノイド市場は2030年に11億ドル(約1650億円)規模に達すると予測した。投資会社JG Investmentの投資運用マネジャー、ゼビン・ワン氏は「機械が家事をこなせるようになれば、潜在市場は極めて大きい」と話している。
中国の個人向けヒューマノイド市場は、情緒的な交流を中心とする初期需要の掘り起こしと、実使用での性能検証が同時に進む段階にある。9月の出荷開始後にどのような評価が定着するかが、家庭用ヒューマノイド市場の立ち上がりを占うことになりそうだ。