ChatGPT広告は表示件数の増加に加え、広告主が技術系企業から大手ブランドへ広がっている点も注目される。写真=Shutterstock

OpenAIが、ChatGPTモバイルアプリで広告事業の拡大を急いでいる。広告表示の増加に加え、広告主の顔ぶれも技術系企業中心から大手消費者ブランドへ広がっており、サブスクリプション以外の収益源として育成する動きが鮮明になってきた。

米Business Insiderが7月31日(現地時間)に報じたところによると、米調査会社Sensor Towerの集計では、ChatGPTアプリの1時間当たりの広告表示数は7月に4月比で約2倍に増えた。広告主数も同じ期間に約300社から820社超へ拡大した。

Sensor Towerは、7月だけでも少なくとも160社の広告主が新たにChatGPTの広告市場に参入したと推定している。立ち上がり段階ではSpeechify、Jotform、Natural Intelligenceなど技術系企業の比率が高かったが、最近ではBooking Holdings、Intuit、Home Depot、L.L.Beanといった大手ブランドも主要広告主に加わっている。

広告主の業種構成にも変化が出ている。ショッピング分野は引き続きChatGPT内の広告支出で最大だが、金融サービス、旅行・観光、採用、教育関連の出稿が増加している。

なかでも金融サービスの構成比は、4月の2%から7月には12%へ上昇し、増加幅が最も大きかった。Sensor TowerはBestMoney.comを7月の主要広告主の1社に挙げている。

Sensor Towerは、ChatGPTがより幅広い業種の企業を引き付け、広告主基盤の多様化を進めていると分析する。こうした業種の広がりは、OpenAIの収益化戦略や広告商品の拡充にとって追い風になっているという。

OpenAIは現在、無料ユーザーと月額8ドルの料金プラン利用者に広告を表示している。ChatGPTの利用者の多くがこの層に含まれるため、大規模なユーザー基盤が広告事業拡大の土台になっている。

Sensor Towerは、ChatGPTモバイルアプリの月間利用者が5月時点で10億人規模に達したと推定した。こうした巨大な利用者基盤を背景に、OpenAIが検索広告市場に近い新たな収益モデルを構築する可能性も高まっている。

もっとも、広告売上の規模はビッグテックと比べればなお立ち上がり段階にある。OpenAIの広告の年間経常売上高は、5月時点で約1億ドルだった。これに対し、GoogleとMetaの直近四半期の広告売上高は、それぞれ816億ドル、593億ドルに上る。

一方でOpenAIは、広告拡大によるユーザー体験の悪化も警戒している。OpenAIで広告部門を統括するデイブ・デュガン氏は、導入初期の数週間は広告表示を「非常に保守的」に運用したと説明した。

同氏は、ユーザー満足を優先しながら広告運用の知見を蓄積し、導入から4カ月がたった現在は、より多くの広告枠を運用できるという自信を得たと明らかにした。

ChatGPTの広告は、ユーザーの質問に対するAIの回答の下部に表示される。OpenAIは、個人の健康や政治に関する質問には広告を付けないなど、表示に関する制限ポリシーも設けている。

5月に投入したセルフサービス型の広告商品については、GoogleやMetaの広告プラットフォームに比べて機能がまだ限定的だとの見方もある。OpenAIは広告フォーマットや運用ツールを追加し、広告主の取り込みを進めている。

業界では、ChatGPT広告が実験段階を脱し、大手ブランドも参加する新たな広告プラットフォームへ移行しつつあるとの見方が出ている。今後の焦点は、広告表示の拡大がユーザー体験を損なわず、OpenAIのサブスクリプション事業を補完する安定収益として定着できるかどうかにある。

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